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世界1位トルコ撃破&女子バレー2連勝でも油断できない? 荒木絵里香が語る“パリ五輪までの過酷な道のり”「警戒すべき3つの国は…」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byVolleyball World
posted2024/05/17 06:00
コンディションの良さを感じさせるキャプテン古賀紗理那。VNLで解説を務める荒木絵里香は、古賀をサポートできる人選にも着目した
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昨秋の五輪最終予選(以下、OQT)で出場権を獲得したのはトルコ、アメリカ、ブラジル、セルビア、ドミニカ共和国、ポーランドの6カ国。そこに開催国のフランスを加えた計7カ国が確定しており、残る枠は5つ。アフリカ、アジアの世界ランク最上位国が優先されるため、中国にリードされる日本は実質3枠に入れるかが焦点となります。
出場権はVNL予選ラウンド最終戦翌日の6月17日に発表される世界ランキングによって決まります。毎試合ポイントが増減されるため、まさに1試合、1セット、気の抜けない戦いが続きます。
まだ出場権を獲得していない国の中では、イタリアと中国が頭一つ抜けた存在。中国はアジア代表として出場する可能性が高く、もちろん日本が上回る可能性ももありますが、(中国が)ベストメンバーで臨んでくることを踏まえると厳しい戦いになるでしょう。
では、現実的に日本のライバルとなりそうな国はどこか。私はオランダ、カナダ、ドイツの3カ国だと考えています。
それぞれ欧州リーグでプレーする選手が多く、かつては「強豪」と言われてもイメージがわきにくかったかもしれませんが、五輪予選でも非常に素晴らしいパフォーマンスを発揮していました。現状、世界ランキングでは日本が上回っていますが、楽観視することはできません。
五輪本番にも影響? “12名”争いも熾烈
加えて、VNLは五輪本番を見据えた戦いになります。五輪の組み合わせは、世界ランキングによって振り分けられるため、メダルを狙う強豪国も1つでもランクを上げて、準々決勝や準決勝を突破する可能性が高いグループに入りたい。つまり、すでに出場権を獲得している国にとっても緊張感ある戦いが続きます。
日本としても、本来ならば五輪前の最後の国際大会であるVNLでより多くのメンバーを起用し、どの形が最もふさわしいのかを考えて試したいところでしたが、まずは出場権を取らなければならないし、世界ランキングも維持しなければなりません。
さらに、VNLの登録選手が14名であるのに対して、五輪本番は12名(プラス補欠1名)と、選手間ではメンバー争いも繰り広げながら戦わなければならない。これは選手の立場から見れば、非常にストレスがかかる状況です。
私にも経験がありますが、ボーダーライン上の選手にとっては毎試合スタメンを発表される瞬間は、何より緊張するし、外れればショックを受ける。出場機会が巡ってきたら、何としてもチャンスをつかみ取りたい。さまざまな思惑が交錯する中で勝利が求められます。タフでなければ乗り切れません。