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大谷翔平がシャワー後に山本由伸を“出待ち”…山本由伸「本領発揮」のウラにあった「日本人同士の支え合い」「妥協なき頑固さ」 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byAFP=JIJI PRESS

posted2024/05/05 17:01

大谷翔平がシャワー後に山本由伸を“出待ち”…山本由伸「本領発揮」のウラにあった「日本人同士の支え合い」「妥協なき頑固さ」<Number Web> photograph by AFP=JIJI PRESS

ドジャースで活躍を見せる山本由伸。1年目から本領発揮のウラにはメジャーの先輩・大谷翔平(右)との日本人同士の交流と本人の信念があった

 デビュー戦は、散々な内容だった。韓国・ソウルで臨んだ3月21日の初登板では、制球が定まらず、1回5失点とKOされた。キャンプ地アリゾナから太平洋を越える長距離移動に加え、登板前日の試合後には、大谷翔平の通訳だった水原一平氏の違法賭博事件が明るみに出て、チーム全体に激震が走った。その後、山本は当時の心境などを語ってはいない。だが、ただでさえ緊張するはずのデビュー戦のマウンドが、心身ともに万全の状態には程遠かったことは想像に難くない。

 周囲の雑音は結果でかき消す以外になかった。

メジャー7年目の先輩・大谷との共同作業

 米国本土初戦となった同30日のカージナルス戦では白星こそ逃したものの、5回無失点と上々の投球を披露した。その後、4月6日のカブス戦で初勝利を挙げると、25日のナショナルズ戦で2勝目をつかみ取り、試合後は「ここまでで一番の投球」と、確かな手応えを口にした。さらに3勝目を挙げた5月1日の時点で15イニング連続無失点と、韓国での登板を除けば、米国での6試合で防御率1.64。開幕から1カ月が経過し、「十分に慣れてきた」の言葉通り、着実に3年連続沢村賞の底力を発揮し始めた。

 戸惑いの多い1年目の山本にとって、新天地ながらメジャー7年目を迎えた大谷の存在が支えになっていることも間違いない。遠征先のシカゴで山本が初勝利を挙げた試合後、ひと足早くシャワーを浴び終えた大谷は、その日のヒーローとなった山本への日米メディアからの取材が終わるのを、椅子に座って待っていた。その後は、他の日本人スタッフと一緒に同地で人気の焼肉店へ向かい、気兼ねすることなく、初勝利を祝った。

 他の遠征先の試合前後の食事にしても、各地の日本料理店へ手分けして弁当をオーダーするなど、グラウンド外でも同じ日本人選手として支え合ってきた。ドジャース入団会見の際、山本は「大谷さんがもし他のチームを選んだとしても、僕はドジャースを選んでいたかなと思います」と言った。その一方で、大谷の移籍が「決断のひとつの理由となりました」と、素直な胸中も明かした。

山本の移籍を本当に助けてくれた

 昨オフの交渉以来、2人の関係をつぶさに見てきたドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、本領を発揮し始めた山本の活躍の一因に、大谷のサポートを挙げた。

【次ページ】 大谷への“注文”

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