- #1
- #2
熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
U-23日本代表“五輪当確の4人”は「フジタ、コクボと…」ブラジル人記者が誰よりも早くパリ本戦展望「パラグアイも“スペイン級”だよ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNurPhoto/Getty Images
posted2024/05/03 17:04
8大会連続となる五輪出場を決めたU-23日本代表。チームワークの良さを感じさせる一方で、今後は五輪本戦18人へのチーム内競争に身を置くことにもなる
「だからこそ、決勝では全員が最高のプレーを見せて、優勝を掴み取ってもらいたい。ただし、仮に優勝したとしても、それが彼らの終着点ではない。五輪があり、さらにその先のキャリアがある」
――五輪は、あくまでも年齢別の大会であって、しかもクラブには選手を供出する義務がない、という制限付きの大会です。現実問題として、五輪開催国以外はベストメンバーを組めないのが通例です。
「2016年リオ五輪と2020年東京五輪(注:実際に開催されたのは2021年)で連覇を遂げたブラジルにしても、オーバーエイジも含めてベストメンバーを招集できたのは自国開催だった2016年大会だけ。2020年大会はベストには数人以上を欠く陣容で、優勝できたのは幸運だった」
“優勝ならスペイン回避”だけどパラグアイも難敵だよ
――とはいえ、極東に位置し、欧州、南米の強豪国との対戦機会が少ない日本にとって、五輪は選手強化のうえで重要な意味を持つのも事実です。この大会で優勝すると、パリ五輪ではパラグアイ、マリ、イスラエルと同じグループに入ることが決まっている。一方、準優勝ならスペイン、エジプト、ドミニカ共和国と同グループとなる。日本にとって、どちらのグループが望ましいと思いますか?
「パラグアイは、パリ五輪南米予選でブラジルを1-0で倒し、アルゼンチンと3-3で引き分けて首位で突破している。かなり手強く、一概にスペインより容易な相手とは言い難い。残りの国もほぼ互角だから、大きな違いはなさそうだ(笑)。
フットボールは、一筋縄ではいかないスポーツ。国際大会の組み分けは一見、やさしそうにみえて実は大変だったり、極めて困難と思えるグループに組み込まれても何とか突破できることがある。
現に、日本は2020年東京五輪で開催国としては異例に困難なグループ(注:フランス、メキシコ、南アフリカと同居)に入りながら、3戦全勝で突破した。2023年W杯では、ドイツ、スペイン、コスタリカという絶望的としか思えないグループを何と首位で突破したよね」
――そうなんですよね。だからこそ、フットボールは面白い。
「一見、スペインのグループの方が厳しい印象を受けるかもしれない。でも、パラグアイはパリ五輪南米予選でブラジルを1-0で倒し、アルゼンチンと3-3で引き分けて首位で突破している。
さらに、日本はマリに3月に開催されたホームの親善試合、1-3で敗れたばかり。もっと言えばイスラエルには、昨年のU-20W杯で痛い目に遭っている(注:GS最終戦で逆転負けを喫し、16強入りを逃した)。どちらのグループも、難易度はほぼ変わらないと思うよ」
チアゴ記者が褒めちぎった準決勝イラク戦に続き、日本は決勝でウズベキスタンを倒してU-23のアジア王者となり、パリ五輪出場に花を添えることができるかどうか――。チームにとっても、また個々の選手にとっても、重要な試合となる。
<第1回からつづく>