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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「このU-23日本代表はツキがあるね」ブラジル人記者が五輪決定に“日本人より大喜び”「フジタは誰が見てもMVP。ニシオ起用はチームも…」
posted2024/05/03 17:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
NurPhoto/Getty Images
ブラジルのスポーツメディアきっての日本通であるチアゴ・ボンテンポ記者(38)は、日本と日本文化を心から愛する物静かで温厚な青年だ。
しかし、大多数のブラジル人と同様、ことフットボールになると人が変わる。冷徹な眼で起きたことを分析し、敵に対してはもちろんのこと、ひいきするチームに対しても歯に衣着せぬ批評、批判を展開する。
そんな男が、U-23アジアカップ準決勝でイラクを2-0で倒してパリ五輪出場を決めたU-23日本代表については、珍しく(ほぼ)手放しで褒めた。
大岩監督、荒木を先発させてくれたね!
――まずは、この試合の日本の先発メンバーについて。
「大岩剛監督は、やっと荒木遼太郎(FC東京)を先発させてくれたね! 僕は大会前から『攻撃的にプレーするなら、中盤の構成は藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)、松木玖生(FC東京)、荒木が理想』と言っていたんだけど、これまでの流れから、万事に慎重な大岩さんは彼を先発させないものと思っていた。
何が何でも序盤に先制して、試合をきっちりコントロールしたい、と考えたんだろうね。英断だったと思う。それ以外の先発メンバーは、予想通りだった」
――対戦相手のイラクは攻撃時は3バック、守備時は5バックでした。
「カタールとの準々決勝で日本が(延長を含めての120分間で)4点取ったのを見て警戒したのと、休養日が1日少ないというコンディション面のハンディを考慮して、慎重に試合に入ろうとしたのだと思う。でも、5バックになると中盤で選手が足りなくなるから、藤田がほぼ常に前を向いてボールを持つことができた」
――前半10分、中央で藤田からの縦パスを受けた荒木が視界の外にいたはずのCF細谷真大(柏レイソル)へつないだが、GKと1対1になった細谷が決めきれなかった。
「彼には失礼だけど『やっとカタール戦で点を取ったのに、また大会序盤の細谷に戻ってしまったのかな』と思ってしまった(笑)」
荒木の2点目を“日本らしい”と絶賛した理由
――ところが、28分、今度は藤田からのロングパスを受けて抜け出し、見事なトラップでボールを前へ運ぶと、スムースにターンしてマーカーをかわし、GKの動きを見定めてファーサイドへ流し込んだ。