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「大谷翔平選手が知れば、気分が悪いかも…」“超謙虚”なインタビューが話題のMLB李政厚 真面目さの原点は元中日《忍者シール》の父にアリ?
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by(R)JIJI PRESS、(L)AFLO
posted2024/04/12 11:00
今季からサンフランシスコ・ジャイアンツで活躍する李政厚(左)。父は中日ドラゴンズで俊足巧打の打者として活躍した鐘範さん(右)
中日では通算53盗塁。成功するたびにヘルメットに「忍者シール」を貼っていたのはファンの間では懐かしい記憶だろう。そこに乗っかって自らを売り込んでいたのが当時は守備、代走要員だった現在中日でコーチを務める大西崇之である。
「そうそう。僕は忍者じゃなくチーターシールをね(笑)。16まで増えたんですよ」
キャリア最多の盗塁数を記録したのが98年だった。
韓国で言われる「野球は李鍾範」
同じく中日の落合英二コーチは韓国球界での指導歴も長く、チームメートとしてだけでなく韓国でいかに李鍾範が愛されているかも目の当たりにしてきた。
「韓国ではよくこう言われるんです。『投手は宣銅烈、打者は李承燁、野球は李鍾範』だって。宣さんは偉大だと思われてます。承燁もそう。鐘範は少し違って、人気者なんです。球場の空気が変わるというか。天才とは少し違う。天才というのなら息子(政厚)の方だと思いますよ」
日本での通算は286安打、27本塁打。ストレスで髪が抜け落ちるほど悩み、骨折が治ってからも韓国時代ほどの輝きを取り戻すことはできなかった。
それでも、その息子はNPBを経由することなくMLBとの大型契約を勝ち取った。シーズンが開幕してからも、そこにあぐらをかくことなくまじめで謙虚なメジャーリーガーの姿勢を貫く。その原点には、かつて見た父の背中が間違いなく影響しているのだろう。
日韓の野球ファンに愛された父はともに渡米し、いまは息子の夢を可能な限りサポートしている。