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オリンピックへの道BACK NUMBER
「メンタルを壊してまでパリを目指そうとは思えなかった」…女子卓球“黄金世代”加藤美優(24歳)が明かすコロナ禍の「葛藤」と「休養の決断」の裏側
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2024/04/06 11:01
“史上最強世代”との呼び声高い日本の女子卓球界で戦ってきた加藤美優。パリ五輪を目前に控え、休養を選択した理由は何だったのか
国内トップクラスの実力がありながら、初めて長期の休養という道を選んだ。6歳から18年間続けてきた卓球は、加藤にとってどんな存在なのか。
「ほんとうに分からないんですよね。こっちが聞きたいです(笑)。ひとことじゃまとめられないと思います。でも卓球がうまくいったらめっちゃ元気になるし、うまくいかなかったらもう情緒不安定になりますし……やっぱり相当、大きなものだと思います」
そんな風に真正面から卓球と向き合い続けた加藤だからこそ、このタイミングでの小休止を選んだのかもしれない。
「卓球だけじゃなく、いろんなことに真っ直ぐな性格なのは自分でもいいと思っています。逆に悪いところはちょっとのことを敏感に感じ取って、よけいなことを考えてしまうところですね。ストレートすぎて誤解を与えることもあるので、そこはちょっと気を付けないと……と思いますね」
そしてこう続ける。
「いまは『これからこんなことがしたい』ということはハッキリとは言えないんですけど、まずはひとつひとつのことに誠実に向き合って、それで結果につなげていきたいと思います。シンプルに卓球に関することで何かを形に残したいという想いはもちろんありますけど、まだ明確には言えなくて」
加藤が卓球と向き合ってきた「スタイル」
ひとつひとつのことと誠実に向き合う――。それはまさに、加藤のこれまでの卓球人生ともリンクする。競技をはじめてから、常に大きな目標を抱えていたタイプではない。一段一段、目の前の課題をクリアすることで、“最強世代”真っ只中の日本卓球界で、頂近くにまでたどり着いていた。
まずはひとつひとつの出来事があって、そこに全力で取り組むことでその先が生まれる。その考えは、競技から離れても変わらない。
加藤美優、24歳。いまはこれまでの競技人生と変わらぬスタンスで、自分の未来を探している最中だ。