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「中国キラーのカットマン」「世界ランク急上昇」卓球・橋本帆乃香27歳が明かす“快進撃の理由”「そんな簡単に負けてられない」活躍のウラに大決断
posted2025/12/08 11:01
世界ランキングは10位、国際大会で大躍進中のカットマン・橋本帆乃香
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Ichisei Hiramatsu
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日本最強のカットマン
卓球界に快進撃を続ける選手がいる。
橋本帆乃香(デンソーポラリス)の活躍は海外でも注目され、しばしば国外のメディアにも取り上げられるほどだ。
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昨年7月の時点で139位だった世界ランキングは、今年10月28日には10位に浮上。その時点で、日本勢の中では張本美和、伊藤美誠に次ぐ3位につけた。
世界ランキングもさることながら、中国選手への強さにも注目が集まった。ここ1年ほどの期間で見れば、17勝4敗。その中には中国代表の主力として活躍する王芸迪との2勝1敗も含まれる。
中国勢だけではない。今年8月、世界ランキング1位の孫穎莎に1-3で敗れるまで、海外の選手には2022年から実に41連勝を記録した。
そんな彼女の戦型は、今日の卓球界では少ない「カットマン」だ。唯一無二の個性を武器に、27歳にしてキャリア最高の成績をあげていることも、橋本が脚光を浴びる理由になっている。
好成績を収めている理由、カットマンを選んだ経緯、そしてこれからへの思いを知るべく、静岡県湖西市の練習場を訪ねた。
「いろいろ悩んで、どうするか考えて…」
橋本帆乃香はシングルス、女子ダブルスの双方で活躍してきた選手だ。特にダブルスでは、佐藤瞳とのペアで2019年世界選手権銅メダルをはじめ、さまざまな実績を残してきた。シングルスでも2017年に世界ランキング13位まで上がったことはあるが、昨年は3桁台まで下降していた。
ところが今年、シングルスでもこれまでにない成績をあげる。3月のWTTスターコンテンダー チェンナイ(インド)では3回戦で早田ひなを破るなどして準優勝、4月のWTTコンテンダー 太原(中国)ではWTTツアー初優勝を遂げた。その後も2度優勝したほか、グレードの高い大会にも出場するようになり、初めて世界トップ10入りも果たした。
理由を橋本はこのように分析する。
「いちばんは環境の変化が大きいかなと思いますね。今までは大阪で生活し、ミキハウスさんでやらせてもらっていました。いろいろ悩んで、この後どうするか考えたときに、自分としてはできるところまで挑戦したいと思ったので、チームを替えるという決断をしました」

