球体とリズムBACK NUMBER
年俸10億円超で契約更新・冨安健洋も…アーセナルvsマンCの最新型「4バック全員CB作戦」遠藤航リバプールは?〈至高のプレミア優勝争い〉
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byStuart MacFarlane/Getty Images
posted2024/04/03 17:02
3月、アーセナルと契約更新した冨安健洋。彼の真価は世界最先端のフットボールトレンドを体現している点にある
「要求の多いタフな試合だったが、我々は守備面で際立っていた」と試合後にアーセナルのミケル・アルテタ監督は話した。「実にうまく立ち回り、危険なスペースを消すことができた。(10月の1-0の勝利に続き、1シーズンにシティから2度もクリーンシートを達成することは)極めて困難であり、それは選手たちの規律と集中力の高さを物語っている」
この対戦までの1試合平均ゴール数が2得点を超えるチーム同士だけに、この結果は意外といえばそうかもしれない。ただしどちらも先発の4バックに、全員CBを本職とする選手(シティ:ヨシュコ・グバルディオル、ネイサン・アケー、ルベン・ディアス、マヌエル・アカンジ/アーセナル:ヤクブ・キビウォル、ガブリエウ・マガリャエス、ウィリアム・サリバ、ベン・ホワイト)を起用しているように、慎重に試合を進めようとしたことがわかる。
名将ペップの薫陶を受けたアルテタだからこそ
その傾向は、何も今に始まったものではない。
昨季のクライマックスを迎える頃、筆者はシティが守備に重きを置いて悲願の欧州制覇に挑むだろうと書いた(https://number.bunshun.jp/articles/-/857472)。
ペップ・グアルディオラ監督であっても、シティでは欧州の頂点になかなか立てなかったが、アーリング・ハーランドという怪物を迎えた昨季、CBが本業の5選手を用いて後ろを固めて前方の彼を生かし、ついにチャンピオンズリーグで優勝したのだ。
モダンフットボールのトレンドセッター、グアルディオラ監督が示した道筋を、彼の元アシスタントコーチであるアルテタ監督が踏襲するのは、自然な流れに思える。しかも当時のシティのチャンピオンズリーグ優勝という宿願は、現在のアーセナルが渇望するプレミアリーグ制覇にそのまま置き換えることもできる。
昨季、アーセナルはシーズンの大半で首位に立ちながら、終盤に失速してシティに追い抜かれた苦い経験がある。シティが途中で何度も屈した欧州制覇のために堅守を求めたように、アーセナルが20シーズンぶりの悲願成就のために、4人のCBを並べるようになったと考えても、不思議ではないはずだ。
冨安は超速ドリブラーのドクと渡り合った
先週末の大一番で、シティは前半にアケーが負傷した際、小柄なリコ・ルイスを投入したが、アーセナルは後半、レフトバックのキビウォルと冨安を交代させた。