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モイネロ「4年40億」より驚いた…“通算3勝”スチュワートとなぜ「年俸7億」? 現地で見た“全米ドラ1蹴った男”の激変「日本もホークスも大好き」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/03/31 11:02
今春撮影のカーター・スチュワートJr.。ブルペンでは「まっすぐ!」など日本語が響く
5年で通算3勝…なぜ年俸7億?
米国の高校を卒業するタイミングでアトランタ・ブレーブスからドラフト1巡目指名(全体8位)を受けたが、球団の身体検査で右手首の懸念が判明し契約金が減額されたことで入団交渉が決裂。短大に進学してプレーを続ける中で突如としてソフトバンク入りを決断した。当時19歳。米国のトッププロスペクトがこれほどの若さで来日した前例はなかったため、ソフトバンク入団が決まってしばらくは一躍時の人となった。
日本のプロ野球環境の中でどのように育成され、どんな大投手に化けていくのか――。
1年が過ぎ、2年が過ぎと時間は流れていくが、その芽はなかなか出てこなかった。ようやく初勝利を挙げたのは来日5年目の昨年7月26日のオリックス戦のこと。また、昨季は交流戦の阪神戦で先発した際に最速160キロをマークしたこともあったが、シーズンを通した成績を見れば14試合で3勝6敗、防御率3.38と平凡だった。
ソフトバンク入りした際の契約は6年総額700万ドル(当時レートで約7億7000万円、1ドル=150円換算では10億5000万円)とされている。これに出来高も加わるようだが、だとしても来日5年で通算3勝のピッチャーがどうして「年俸7億円」という評価に跳ね上がったのか。交渉の詳細については知る由もないが、少なくともソフトバンクはそれに見合った活躍を予見したからそれだけの契約を提示したのだろう。
本当にそんな活躍をするのか?
契約延長を知った1月の段階では首を傾げていたのだが、2月の春季キャンプでスチュワートJr.の投球を見て、取材をして、日頃の練習はもちろん表情などを眺めていくうちにその考えは変わっていった。
オフは地元フロリダへ
投球は、去年までと明らかに変わった。