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「1イニングでも長く、球数も多く」ロッテ・佐々木朗希はさらに進化する…怪物右腕5年目の手応えと心に誓う「“あの日”を背負う使命」
posted2024/03/31 11:04
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
シーズンに向けた準備は整った。3月24日、佐々木朗希投手はバンテリンドームナゴヤでプロ5年目のオープン戦を終えた。5回を投げて被安打2、無失点。マウンドでは躍動感あふれる姿を見せ、何度も頷きながら納得した表情でベンチへと戻ってきた。
「いい感じで投げることが出来たかなと思います。フォーム的にもいい感じ。やりたかったことが出来たと思います」とうなずいた。
苦しんだオープン戦
2月25日(韓国ロッテ、糸満)、3月3日(ライオンズ、高知)、3月10日(ホークス、ZOZOマリンスタジアム)、3月17日(イーグルス、ZOZOマリンスタジアム)、そして名古屋――。2月初旬の石垣島キャンプ第1クール中に決めていたシーズンまでの道筋だ。しかし、なかなか思い描くパフォーマンスを発揮できない日々が続いた。
特に3月17日のイーグルス戦は4回を投げて被安打6、4失点。「真っすぐに力がなかったですし、コントロールも思うようにはできなかった。ごまかしながら投げた感じ。しっかりといいフォーム、いい出力で投げられるようにしていきたい」と本人も試合後のメディア取材で苦しんでいる部分を素直に口にした。
周囲から不安視する声も出始めたが、見守る吉井理人監督は涼しい顔で動かず見守った。2月下旬の宮崎遠征の練習中に少し声をかけたぐらいで、あえて多くは伝えなかった。指揮官は言う。
「フォーム的な部分に修正すべきことがあるのはキャンプの早い段階から分かっていたけど、本人も気づきかけていたし、色々と考えているようだったので特にこちらからは何も言わなかった。そうやって人は成長していく」
あえて見守った吉井監督
ヒントを与えるのは簡単。しかし、自分で考えに考えて壁を乗り越えることが出来れば大きな成長へとつながる。吉井監督は下半身の使い方、特に踏み込みが気になっていたと言う。しかし、オープン戦最後のマウンドで佐々木はしっかりと自らの手で答えを導きだした。実際に期待に応え、100%のパフォーマンスを披露してくれたことに目を細めた。