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寒すぎるセンバツ「ガラガラ空席」甲子園で…記者が温まった“ある話”「被災した日本航空石川に…近江が電話」応援参加のウラ側「涙が出ました」 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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posted2024/03/25 09:00

寒すぎるセンバツ「ガラガラ空席」甲子園で…記者が温まった“ある話”「被災した日本航空石川に…近江が電話」応援参加のウラ側「涙が出ました」<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

高知高校の友情応援に駆けつけた、四條畷学園マーチングバンド部。雪が舞っている

 25日に初戦を迎える日本航空石川(石川)の応援には、近江(滋賀)の吹奏楽部64人が駆けつける。

 能登半島地震で大きな被害を受けた日本航空石川は、多くの生徒が避難所での生活を余儀なくされるなど、部活動どころではなかった最中にセンバツ出場が決定。同校理事長補佐・佐久間京子氏の元に、被害を気遣った近江高校吹奏楽部の樋口心氏から電話があった。

「うれしくて涙が出ました…」

 2人の交流は、8年前の3月にカンボジアで行った教育支援のボランティア活動がきっかけだという。ともに現地の学校に毛布や文房具を届け、児童養護施設なども訪問。お互いの勤務先が野球やバレーボールなどの強豪校ということもあり、帰国後も交流が続いていたという。

「センバツ出場校が発表になった1月26日の夜、樋口先生から『学校は大丈夫ですか?』『吹奏楽部は練習できていますか?』とお電話をいただいた時は、うれしくて涙が出ました。地震で傾いた校舎の再建や、系列の山梨校への移転など落ち着かない環境のなかでセンバツ出場が決まり、本当に甲子園に行けるのか心細い思いを抱いていたので、樋口先生のやさしさがとても沁みました。友情応援を申し出てくださったので、『ぜひお願いします』と即答しました」(佐久間氏)

 22日、日本航空石川の吹奏楽部員13人が近江高校を訪れ、初の合同練習。今センバツは残念ながら1回戦敗退となった近江だが、アルプススタンドでの応援経験は豊富なだけに、「とても心強い」と佐久間氏も話す。

コラボで聴ける「あの人気応援」

 当日は、日本航空石川がいつも応援で演奏する“空にちなんだ曲”、米米CLUBの『浪漫飛行』や『サンダーバード』『航空オーレ』や、2015年にNHKで放送された、能登半島が舞台の連続テレビ小説『まれ』の主題歌『希空~まれぞら~』を演奏。ほかにも近江が応援で使用する、アメリカの人気ラッパー・ピットブルの『Fireball』も登場予定だ。この曲は、野球応援曲をフルリニューアルした2018年から使用している同校のチャンステーマで、

「今日の主役はどこですか?」
「近江高校!」

 という、野球部が考案した応援席全体を巻き込むコール&レスポンスが話題となり、今では他校も使用する人気の曲だ。

【次ページ】 寒さも…「空気が澄んでいるので音が鳴る」

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