甲子園の風BACK NUMBER
寒すぎるセンバツ「ガラガラ空席」甲子園で…記者が温まった“ある話”「被災した日本航空石川に…近江が電話」応援参加のウラ側「涙が出ました」
posted2024/03/25 09:00
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
2日連続の雨天順延を経て、3月25日で全出場校が1回戦を終えるセンバツ大会。例年と違い、気温が10度を下回る日も多く、3月の甲子園では珍しく雪が降る光景も見られた。アルプススタンドの記者たちは、手袋なしでは取材ノートが書けないほど厳しい冷え込みが続いている。応援席の生徒たちも、例年だと制服やパーカーなどの軽装が多く、肌寒い日でもウィンドブレーカーを羽織る程度だったのが、今大会ではダウンを着込み、手袋をして楽器を演奏する姿も目立つ。演奏のない守備時には、冷えた手や足をカイロで温める生徒も少なくない。
「ここまでガラガラとは…」なぜ?
寒さとともに気になるのが、空席の多さだ。球場全体を見渡すと、例年よりも明らかに空席が目立ち、公式発表によると、観客数が7000人という試合もあった。10年前からアルプススタンドのブラバン応援取材を続ける筆者も、ここまでガラガラのセンバツはなかったように記憶している。
近畿地方の大阪桐蔭(大阪)と報徳学園(兵庫)が出場した22日は、外野席もかなり埋まっていたので、対戦カードに大きく左右されるのだとは思うが、何か理由があるのだろうか。コンサートやスポーツイベントを手掛ける関係者に事情を聞いた。
「コロナ禍ではさまざまなイベントが休止になりましたが、コロナが明けた現在は、『このイベントには絶対に行きたい!』という本気のファンは変わらず足を運んでいるものの、行こうかどうか迷っている、いわゆるライトなファンは依然として離れている印象です。物価高などでチケット代も値上がりし、『行きたい人は行く、迷っている人は行かない』と、白黒はっきりし、グレーな人が減ったのでは」(コンサート・スポーツイベント関係者)
このような分析に加え、例年にない寒さで「ふらっと行ってみよう」という層が足を運ばなくなったのかもしれない。
日本航空石川の試合に近江が…舞台裏
空席が目立つ今大会だが、アルプススタンドの応援の熱さは例年とまったく変わらない。吹奏楽の友情応援も多く、現場には温かい話があふれている。