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いまだ不気味な北朝鮮代表の素顔とは?「彼らは本当に純粋で…日本戦では200%の力を発揮」元U-23北朝鮮代表・韓勇太が明かすチームの内情
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/20 17:00
2017年12月の東アジアE-1選手権で来日し、韓国戦の前に国歌を歌う北朝鮮イレブン
とはいえ、先ほども言ったように彼らは日本相手に200%の力を出してくる。日本としては、アジアカップの失敗からいかに修正できるかが求められている。なので、試合序盤の入り方を見れば、お互いがどんなメンタリティで臨んだのかがわかって面白いと思います。朝鮮が日本のフィジカルに驚くのか、もしくは耐えて球際で強く出てくるのか。それによって、その後の展開も大きく変わってくると思います」
韓勇太は昨年8月に現役引退を発表した。かつてサッカー少年の頃に抱いた「北朝鮮代表として活躍する」という夢を叶えることはできなかったが、彼には思いを託す選手がいる。
唯一代表に選出された在日コリアン選手
文仁柱(ムン・インジュ)。韓勇太の朝大3学年下の後輩で、J3のFC岐阜でプレーする24歳は、今回の北朝鮮代表メンバーに在日選手では唯一選ばれた。
「実力的にはまったく問題ないし、代表でも十分戦えると思います。でも、目立ったプレーをすることも大事ですが、国と国との戦い、特に日本との戦いで、自分が何を背負ってピッチに立つのか、その覚悟が求められると思います。だからこそ、仁柱には在日を背負って、国を背負って戦ってほしいですし、正々堂々頑張ってもらいたい」
自然と話に熱が入る。かつての自分がそうだったように、同じルーツを持つ後輩たちの“道標”となってほしいという思いがある。
「日本代表には上手い選手が多いですし、在日同胞にも彼らを応援して、彼らに憧れている子どもはいると思います。それでも、自分のルーツがある朝鮮という国が、あれだけ海外で活躍する選手の多い日本代表とぶつかり合う姿を通じて、何か感じるものがあれば嬉しいです。一人でも多くの後輩が、『自分も代表選手になってこの舞台で戦いたい』って思ってくれるのであれば、これほど嬉しいことはないですよ」
韓勇太も21日、国立のスタンドで日朝戦の激闘を見守る。期待することは、サッカーとしての純粋な熱狂だ。
「森保ジャパンには『強い日本代表』として、カタールW杯でドイツやスペインを破った時と同じようなメンタリティで試合に臨んでほしい。そして、お互い100%以上の力でぶつかり合って、日本のファンやサポーター、在日同胞の応援団関係なく、国立に来たすべての人々を熱くしてもらいたいです」