JリーグPRESSBACK NUMBER
結婚前、妻の父から「寺を継いでもらえないか?」元Jリーガー僧侶・五藤晴貴が“午前3時起床”修行で得た悟り「座禅の時、サッカーを…」
text by
間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2024/02/25 06:02
現在は静岡県の林入寺で副住職となった五藤晴貴さん
ゲストに現役のプロサッカー選手を招いたイベントを開催したり、サッカーのイラストやサッカー選手のサインが入った御朱印帳をつくったりしている。寺離れへの強い危機感から、お寺を身近に感じてもらう取り組みに力を入れている。
「イベントは『寺がやることではない』と周りから批判されることもありますが、お寺に親しみを持ってもらうきっかけになると考えています。サッカーをしていた頃もそうでしたが、批判されると『もっと頑張ろう』と火がつきます」
お寺を「敷居が高くない、親しみやすい存在に」
現役を退いてからサッカーボールに触れるのは、甥や姪と遊ぶ時しかない。サッカーへの未練はなく「やり切った気持ちが強いです。もう走りたくないですね」と笑う。プレーしなくなった代わりに、試合を観るのは好きになった。プロサッカー選手が、どれだけ大変な仕事か身をもって知っているため、今は純粋に応援している。
五藤さんはユニフォームを脱ぐ時、こんな言葉を残している。
「これからも長い長い人生になりますが、またどこかで梅村晴貴という名前を皆さまに聞いていただける人生を目指して頑張っていきます」
結婚して名字は五藤に変わり、全く経験のなかった僧侶の道を歩み始めた。
「敷居が高くない、親しみやすい存在になりたいです」
寺離れを改善する取り組みは着実に地元で浸透している。五藤晴貴の名前を聞いてもらえる機会は、さらに増えていくはずだ。