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「日韓戦で三笘薫と対戦したい」25歳韓国代表DFの願い叶わず…韓国が報じた“日本沈没”、森保Jには“ソン・フンミン”がいなかった?
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/05 11:01
準々決勝のベスト11に選出された韓国代表ソル・ヨンウ(右)。日韓戦の実現と三笘薫とのマッチアップを願っていたが…
グループリーグでは初戦のバーレーンに3-1で快勝するも、2戦目のヨルダンには後半アディショナルタイムで追いついて2-2で引き分け、3戦目のマレーシア戦も後半アディショナルタイムにソン・フンミン(トッテナム)のPKで3-2でリードしたものの、土壇場で追いつかれた。1勝2分と、あわやグループリーグ敗退の可能性もあり得た、まさかの“2位通過”でのラウンド16進出。当然、選手や監督は猛烈な批判を浴びた。
SNSでは個人を特定した選手への批判が溢れかえり、主将ソン・フンミンが試合後のミックスゾーンで異例の訴えを行って、国民に理解を求めたほど。中でも、ユルゲン・クリンスマン監督の采配と手腕を疑問視する声は日に日に大きくなっていった。
Jリーグでのプレー経験もある元韓国代表のイ・チョンス氏は自身のYouTubeチャンネルで、ドローに終わったマレーシア戦に言及し、「(逆転された直後に)これはプライドの問題だ。話す言葉もない。負けている状況で戦術の変化がない。(クリンスマン監督は)選手を替えても(既存の選手と)同じポジションに入れるだけ」と痛烈批判。メディアにも厳しい見出しが躍った。
代役GKの大活躍、シンデレラボーイの出現
だが、潮目が大きく変わり始めたのは、決勝トーナメントに入ってから。
クリンスマン監督は1回戦のサウジアラビア戦でこれまでの4バックから一転して、3バックを採用。絶対的エースのソン・フンミンを最前線に配置した大胆な変更で勝負を懸けた。
0-1でリードされる時間が続いたが、これまで不発だったFWチョ・ギュソンを途中投入すると、その期待に応えるかのように後半アディショナルタイムに同点弾を上げ、そのままPK戦の末に競り勝った。
続くオーストラリア戦でもクリンスマン監督は勝負に出る。0-1でリードされた後半にワントップのFWチョ・ギュソン(ミッティラン)を下げ、トップ下が本業のMFイ・ジェソン(マインツ)を入れ、再びソン・フンミンを最前線に配置。
さらに後半終盤には、本来はウインガーのヤン・ヒョンジュンを右ウイングバックに投入した。昨季セルティックに加入した21歳のアタッカーは今大会初出場ながら「鋭い突破と積極的な守備。失敗しても何度も挑戦する勇気がある。今大会のシンデレラボーイ」(スポーツ朝鮮)と評されるほど躍動し、劇的な逆転劇につながる活躍を見せた。
躍動した新星ヤン・ヒョンジュンや大会を途中離脱した守護神キム・スンギュ(アル・シャバブ)の代わりにスーパーセーブを連発するGKチョ・ヒョヌ(蔚山現代)など、日替わりのキーマンたちが韓国ファンのボルテージを上げたことで、批判の声は大きな声援に変わりつつある。
何より、国民の期待を一心に背負うのがソン・フンミンだ。圧倒的な存在感でチームを牽引している。