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久保建英22歳が語った「あれがいまの自分の限界」…イランに力負け、疑問が残る交代策でピッチを退いても“悲壮感”がなかった理由とは
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/04 17:00
アジアカップ準々決勝でイランに逆転負けを喫した日本代表。先発した久保建英は複数のチャンスを作りながらも、67分にピッチを退いた
選手交代は結果で判断される。南野も三笘も得点に絡めず、チームが逆転負けを喫したのだから、森保監督の采配は失敗だったということになる。
交代策への疑問「久保は残すべきだった」
それにしても、なぜ交代のカードが久保だったのか。
この日の久保はインサイドハーフの立ち位置を取りながら、相手ボールの局面で上田と並んで前線から規制をかけていた。交代のタイミングで、活動量が落ちているようには見えなかった。
久保は攻撃面でも機能していた。右ウイングの堂安律、右サイドバックの毎熊晟矢との関係性は、毎熊が先発に名を連ねたインドネシア戦からチームの強みとなっていた。3人でレーンを使い分け、2人または3人のコンビネーションで敵陣深くまで侵入したり、ペナルティエリア周辺で相手守備陣を慌てさせたりしていた。
久保自身の立ち位置も、相手守備陣を悩ませていた。右サイドだけでなく左サイドで前田、守田、伊藤洋輝らと関わり、数的優位を作り出していた。ボールが入らない局面でも、相手が嫌がる立ち位置を取ったりしていた。
イランの選手とのマッチアップでは、身体のサイズで劣ってしまうものの、ボールを収めることも運ぶこともできていた。ファウルも誘発していた。あの時間帯に交代させる理由は、攻撃面でも見当たらなかった。
この試合がグループステージなら、久保を下げる理由を見つけることはできる。決勝戦まで見据えた疲労の分散と理解できる。
しかし、イランに勝たなければ次はないのだ。攻撃のスイッチを上げるために交代のカードを切ったのだとしても、久保は残すべきだっただろう。
W杯では“敗北感”をにじませていた久保
さかのぼること1年数カ月前、久保は今回と同じカタールで悔しさを噛みしめていた。自身初めてのW杯で不完全燃焼に終わったからだった。ドイツ戦とスペイン戦に先発出場したが、前半で交代を告げられたのである。