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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「NPB復帰の第1号になりたい」“阪神元ドラ1&新人王→戦力外”高山俊が退団後の初激白…リスタートの地に新参入の新潟を選んだ「納得のワケ」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/01/29 17:01
2016年に阪神にドラフト1位で入団、新人王も獲得した高山俊。今季からは二軍に新参入の新潟アルビレックスBCでNPB復帰を狙う
今季から新たに2球団がNPBの二軍公式戦に参入する。新潟はイースタン・リーグに、「くふうハヤテベンチャーズ静岡」がウエスタン・リーグに所属する。昨季まで在籍したタイガースはウエスタンで、イースタンの球団と試合をする機会は少なかった。新潟入りは高山にとってアピールのチャンスを拡げる狙いもある。当初はコーチ兼任を打診されたが、選手一本にこだわった。
「中途半端な気持ちで戻れる世界ではないと分かっています。現役でやれる期間は長くないので、ケガもないし、体が動くうちはがむしゃらにやる方が僕自身、後悔がない」
日本シリーズで「ある選手」に送ったメッセージ
NPB復帰への思いはこの秋、一層強くなった。
テレビには日本シリーズが映っている。第6戦。タイガースがオリックス山本由伸に封じ込められ、3勝3敗になったのを見届けると、高山は第7戦に先発する青柳晃洋にLINEのメッセージを送った。勝てば日本一になる大一番を任されていたのだ。
《周りはいろんなことを言うけど、そういうことは気にせず、自分のために、自分のピッチングをしてほしい。投げられることがまず幸せなことだよ》
青柳とは同い年で、投手と野手でポジションは違うがウマが合い、1年目からよく食事に行った。日本シリーズで仲間の姿を見て、高山にはある感情が芽生えていた。
「青柳に頑張ってほしい、というのが一番ですが、自分自身、タイガースでプレーしている時はいろいろ考えたり、プレッシャーをかかる局面があったり、大変だなと思うことも多かった。でも、戦力外になってテレビで見ることしかできない自分になった時、プレーできるのは、とても羨ましいことだなと思ったので、LINEを送ったんです。
青柳も日本シリーズの第7戦までまったく投げてなくて、プレッシャーがかかるし、そこで日本一が決まります。すごくキツいだろうなと思いましたけど、自分のこうなった立場から言えることとして、僕なりに思ったことを言いました」
リーグ優勝。日本一。いるべき場所に俺がいない……。ふがいなく、もどかしさを抱きながらも、卑屈にならなかった。この8年間、ドラフト5位で同期入団の青柳の姿も見てきた。
当初は牽制球やフィールディングに難があったが、地道な練習で克服していく。高山はそんな青柳に一目置いていた。