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「NPB復帰の第1号になりたい」“阪神元ドラ1&新人王→戦力外”高山俊が退団後の初激白…リスタートの地に新参入の新潟を選んだ「納得のワケ」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/01/29 17:01

「NPB復帰の第1号になりたい」“阪神元ドラ1&新人王→戦力外”高山俊が退団後の初激白…リスタートの地に新参入の新潟を選んだ「納得のワケ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2016年に阪神にドラフト1位で入団、新人王も獲得した高山俊。今季からは二軍に新参入の新潟アルビレックスBCでNPB復帰を狙う

 右足をわずかに上げ、バットを最短距離で出す。遠回りしてロスするような動きがなかった。昨季は2年ぶりに一軍昇格できず、二軍でプレーし続けた。20、22年も一軍での打率は1割台。戦力外になって、自らを根本的に見つめ直したという。

「タイガースで一軍の試合に出られない時間が長いと、自然とどうやれば試合に出られるのだろうと、この何年間かはチームにフィットするように打撃の内容を考えてしまっていたところがありました。自分が出るためには、新しくやってきた選手に負けない長打力がないと、なかなか勝負できないなと考えたりしました。自分を見失うというか、本来の自分の形より、そういう考えに偏ってしまっていました」

 毎年のようにライバルが加わる。糸井嘉男、近本光司、佐藤輝明……。いつしか、自分の器を拡げることよりも、チームの器に収まろうとしてしまっている自分がいた。

 昨季は二軍でチーム2位の9本塁打を放ってパンチ力を示したが、打率は.249にとどまった。真っ向勝負で競い合ったが、持ち味を発揮できなかった。

「広角にヒットを打てるのが僕の強み」

 プロ9年目の今季は原点に戻る。明治大で東京六大学史上最多の131安打をマーク。タイガースでの1年目だった16年もシュアな打撃を披露し、新人王を獲得した。

「ヒットを打つ、広角に打てるというのが僕の強みだと思っています。そういうところをもう1回、磨いていくべきだと思っています。自分らしくやろうと思いました」

 昨年11月15日、千葉・鎌ケ谷で12球団合同トライアウトに臨んだ。

 寒空の下、1打席目から気を吐く。左腕の138kmをとらえるとライナーで右中間二塁打。その後も右前打、2四球に盗塁も決め、存在感を示していた。

「失うものはない。泥臭く全力でやろうと思った」

 NPBの11球団からのオファーは届かなかったが、熱心に誘ってくる球団があった。新潟である。入団を決断するまで時間はかからなかった。

「戦力外になった僕を拾っていただいた。タイガースでのここ何年かは、自信もほとんど持てない状態でした。トライアウトも見に来てくださって『まだまだやれると思う』と声をかけていただいて、すごくありがたかった。『本当に必要としている』と言っていただいたことが一番、大きかったです」

【次ページ】 日本シリーズで「ある選手」に送ったメッセージ

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