核心にシュートを!BACK NUMBER
「彩艶、ナイス」なぜ堂安律は「丸くなろうと思っていない」のに“仲間を守るのは当然”と考えるか「由勢も…5年前の自分とかぶるんです」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKoji Watanabe/Getty Images
posted2024/01/29 11:06
アジア杯インドネシア戦の日本代表スタメン。堂安律や鈴木彩艶はもちろん、チームは一枚岩になるために戦っている
常套手段であるのだが――イラクはセットプレーの際、鈴木の前に立って、キーパーの動きを妨害してきた。それはチームで共有され、「同じことをさせない」という責任感から先輩たちは動いていた。
あれだけの激しい競り合いだ。彼らのユニフォームの下には1つや2つのアザくらいは刻まれただろう。それでも身体を張ったのは、鈴木を信頼しているからに他ならない。
由勢も…5年前の自分とかぶるんです
チームメイトが鈴木を盛り立てると同時に――堂安自身も驚きのデータを残している。
インドネシア戦で堂安が記録したトップスピードは33.6キロだった。これは前田、浅野、伊東純也らを上回り、今大会の日本最速だ。
堂安は、若いころからパーソナルトレーナーをつけてスピードを上げるトレーニングに取り組んできた。その成果が出ているのは間違いない。それでも――科学的には解明できない火事場の馬鹿力とでも言うべきパワーが彼の背中をさらに押したようにも感じられる。何しろ、本人がこう言って、白い歯を見せていたのだから。
「『足が遅い』と言われないように、頑張って走りました!」
堂安はリーダーの一人として、日本代表をW杯の頂点に導きたいと考えている。その目標から逆算したとき、言葉で引っ張るよりも、「背中で語る」方が自分は得意だと感じたという。それが代表の10番を切望した理由の一つだった。
だから、インドネシア戦の試合後に理想のリーダー像について説明した後、堂安は語った。
「今、彩艶も(菅原)由勢も色々な経験をしていますよね。それって、5年前の自分と(イメージが)かぶるんですよね。少し悪かった時に、考えすぎてしまったり。あるいは、自分が悪いわけではないのに、結果的に失点に自分が絡んでしまったり。そういうことがあると、どうしても悪いモードに入ってしまうから……」
独白は続く。
「だから今日は何か変えたいと思っていたんですよ! ボールを失ってもいいし、相手に抜かれてもダッシュで戻れば間に合うし、上手くファールすれば全然問題ない。それにね、彼らのクオリティがあれば、調子が悪い日なんてないと思うんですよ、俺の感覚的には。だからこそ、そこを強調して(試合前に)話したところがあります」
所属クラブの正GKを守る環境を知っている
5年前のアジアカップで、ゴールを決められずに苦しんでいた堂安は「俺が点を取ります」と長友佑都のスマホ越しに宣言した。果たして、次の試合で実際にゴールを決めてみせた。
堂安がチームメイトたちのことを気にかけられるのは、長友のような先輩に助けられた経験が大きいはずだ。ただ、それだけではないだろう。
堂安は、仲間を守ることを当然とする組織で日常を過ごしている。