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「Jから直接ブンデスに行けた時代は恵まれていた」日本人はもっとシント・トロイデンを活用すべき? 岡崎慎司37歳の提言「苦労する必要はない」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2024/01/20 11:02
ドイツ、イングランド、スペインを経て、現在はベルギーのシント・トロイデンVVでプレーする岡崎慎司。同クラブの強みについて話を聞いた
――コロナ禍の影響もあり、移籍マーケットがやや停滞気味だった時期ですね。
「そうですね。でも、僕はすでに36歳、加えてスペイン2部での成績も芳しくなかった。ある意味“終わった選手”だったんでしょう。練習参加に応じてくれるクラブもなかった。30代のベテラン、元代表選手と考えたときに、母国のクラブなら獲得を検討するはずです。ドイツならドイツ人というふうに。だからといって、僕には帰国する選択肢はなかった。そんなときに、STVVが練習参加の機会を設けてくれたんです。でも、『獲得については監督次第だ』と」
――STVVに練習参加を頼むということも大きな決断だったのでは?
「僕はヨーロッパでオファーがある限り、ここでプレーしていくというポリシーでやってきました。でも、ワールドカップのことがあったので、STVVの手を借りなくちゃいけなかった。そういう意味では自分のポリシーを覆している面もあるんですよね。『そこまでしてヨーロッパに居たいのか』という自問自答はありました。でも僕の戦う場所はヨーロッパだという気持ちが揺らがなかった。それに、獲得は監督次第ということだったので、自分の力でもぎ取るという環境に立てたと感じました」
「居心地は断然良い」「STVVが特殊なわけじゃない」
――結果的に加入が認められて、22-23シーズンは30試合に出場しましたね。そして、今季も再契約しました。
「実際、STVVに入ってみると、やはり居心地は断然に良いんです。これまでずっと一人で戦ってきたから。すぐに日本語で会話できる。価値観を共有できる日本人がたくさんいる。不思議な感覚ではあったけれど……。そう考えると、どんなクラブでもフランス人はフランス人で固まっているし、ブラジル人もそうです。それに、最近ではアメリカ資本のクラブがアメリカ人選手を獲得するとかってことも当たり前のように起きている。STVVが特殊なわけじゃないんですよね」
――STVVへの印象が変わったと。
「はい。以前の僕の考え方こそが、日本人っぽいなと思いましたね(笑)。実際、STVVでもピッチに立てば、他クラブと同じように競争がある。監督が『日本人だから』と起用してくれるわけじゃないから。現監督のトルステン・フィンクさんは、ベルギー人の若手を積極的に起用しているし、日本人選手を多く起用することを躊躇している感じもします」