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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
青学大・太田に並ばれた駒澤大・佐藤へ「絶対に気持ちでついて行け!」箱根駅伝の経験者→ガチ駅伝ファン・濱野将基が振り返る「引退して初めての箱根」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJMPA
posted2024/01/16 06:03
今年の箱根駅伝を象徴するシーンとなった3区。並走する2人を沿道から見ていた創価大OB・濱野将基は叫んだ――。
太田vs佐藤のデッドヒートにかけた言葉
「やばい、抜かれると思ったら、太田くんが余裕のある表情ですっと前に出ました。圭汰の動きは少し硬かったと思います。でも、ここからは意地のぶつかり合い。気持ちで負けたほうが先に脱落してしまうと思ったので、大きな声を張り上げました。『絶対に気持ちでついて行け!』って」
応援の気合いは入っていたが、嫌な予感は的中してしまう。区間2位となった佐藤の1時間00分13秒という記録は悪くなかった。前回大会は中央大の中野翔太が1時間1分51秒で区間賞を取っていることを考えれば、むしろ好タイムと言ってもいい。ただ、太田はそれ以上だった。59分47秒の驚異的なタイム(歴代日本選手最速記録)で区間賞を獲得し、先頭で襷を4区に届けた。“推し活”に精を出す濱野は過去のデータを基に独自に駒澤大の予想タイムを算出したエクセルデータをタブレットに表示し、あきれた顔で苦笑した。
1区の荒巻朋熙君が大きかった
「これを見てください、駒大の走りは悪くなかった。むしろ、ほとんど想定通りだったはずです。青学大が良すぎただけ。1区の荒巻朋熙君が先頭と35秒差で2区につないだのが大きかったと思います。区間9位ですが、個人的には大会MVP。もしもあれ以上離されていれば、2区の黒田朝日くんも、3区の太田くんも駒大と差を詰めきれていなかったかもしれません」
3区のデッドヒートに熱くなったあとでも、創価大の後輩である山森龍暁(4年)にゲキを飛ばすことは忘れていない。「根性を出せ」と声を振り絞ると、4区をスキップして急ぎ足で箱根の山へ。大混雑する小田原駅から箱根登山鉄道を使い、冷たい雨が落ちる5区の観戦ポイントに。山を上ってくる駒大の金子伊吹、創価大の吉田響を待っているときには、もううすうす分かっていた。