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「被災した石川県のために…」石川代表・五島莉乃が全国女子駅伝で独走区間賞…笑顔で走りレース後に涙「速いだけじゃない、尊敬される選手」

posted2024/01/16 17:00

 
「被災した石川県のために…」石川代表・五島莉乃が全国女子駅伝で独走区間賞…笑顔で走りレース後に涙「速いだけじゃない、尊敬される選手」<Number Web> photograph by KYODO

全国都道府県対抗女子駅伝の1区を区間賞で駆け抜けた石川県代表の五島莉乃

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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KYODO

 1月14日に京都で行われた全国都道府県対抗女子駅伝。石川県代表の五島莉乃は、スタート前にゆっくりと目を閉じた。

「私たちが襷を繋いでいる時の思いが、どうか石川県の皆さんに届きますように」

「最後まで笑顔で襷渡しができますように」

 強い眼差しを前に向ける。号砲と共に飛び出し、1km手前で先頭に立つと、そこからさらにペースを上げて一気に独走態勢を作った。

「1秒でも多く貯金を作って次の選手に渡すんだ」

 力強い腕振りと軽やかな足捌きで3キロの中間点を9分15秒で通過すると、後方の集団とは20秒以上の差がついた。早くからレースを楽しみに集まった沿道の観客は「石川」のユニフォームの五島を見ると、「石川がんばれ」と大きな声援を送る。

 その声に五島は笑顔を見せ、呼応するように力強く腕を振る。中間点を区間新記録ペースで歩を進めたが、後半のダラダラと上り坂が続く厳しいコースにさすがの五島も口を少し開き、苦しそうな表情も見せる。しかし最後まで力強い走りで2位の千葉に35秒の差をつけて、2区の猿見田裕香に襷を渡した。

「ゆか、がんばれ」と猿見田の背中に声援を送ると、安堵の表情に変わった。

 自分の仕事はやり切った。

「最初から自分のペース、リズムで行こうと思いました。最初に突っ込んでも、苦しくなってからしっかり粘って走りたいなって思っていました。もうちょっとタイムが伸びていたら、とも思うんですけど」

コンディションは万全でなかったが…

 区間記録に10秒及ばなかったことに残念な表情も見せたが、18分49秒で自身2度目の区間賞と素晴らしい成績でチームを後押しした。

 五島自身、決してコンディションは万全ではなかった。

【次ページ】 レース後のインタビューでは涙も

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