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「公立中学の部活出身でも青森山田の9番を背負えた」4度目の選手権優勝…今年のチームに“青森出身”が多かったのはナゼ?「初優勝の時は小学生」
posted2024/01/09 17:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
第102回全国高校サッカー選手権大会を制したのは、“ユースサッカー界の横綱”こと青森山田高校だった。
1995年からサッカー部を強化してきた黒田剛・前監督(現・町田ゼルビア)が退き、正木昌宣監督が引き継いだ今シーズンは、すでにユース年代最高峰のリーグである高円宮杯プレミアリーグで日本一を達成。2年ぶり4度目の選手権制覇も成し遂げたことで、改めて高校サッカー界に“青森山田あり”という存在感を知らしめた。
ただ、今季のチームには例年とは異なる傾向があった。
青森県出身者が多くそろったチーム
青森山田のような強豪ともなれば、県外から越境入学する選手は多く、事実、決勝のピッチにいた大半の選手が関東や関西といった各エリアからやってきた実力者ばかり。県内で実力を有していても、青森山田を断念して県外へ進学するという例も決して珍しくない。
しかし、近江高との決勝戦のスターティングメンバーに目を移すと、11名のうち4名が青森県出身者で、GK鈴木将永、DF小泉佳絃、山本虎、FW米谷壮史はいずれもチームの絶対的な中核をなす存在だった。さらに途中出場したMF谷川勇獅、FW津島巧を含めると6名もの県内出身選手が部員205名の厳しい競争を勝ち抜いて決勝の舞台に立っていたのだ。
確かに、中体連で全国トップクラスの実力を有する附属の青森山田中学の存在は大きい。鈴木、山本、米谷は青森山田中学時代から全国大会を経験してきた選手であるし、OBに目を向けても柴崎岳(野辺地町)、櫛引政敏(青森市)、高橋壱晟(青森市)、藤原優大(弘前市)といった錚々たる顔ぶれがいる。しかし、特筆すべきは今季の6名のうち、小泉・谷川・津島は公立中学や県内のクラブチームから進学してきた選手であり、彼らがトップチームの主軸を担ったことだ。これは注目に値する事実である。