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「アキレス腱を切った瞬間、笑ってしまった」元日本代表MF柏木陽介36歳が本音で明かす引退と“若気の至り”「試合に出られるだけで嬉しくて…」
posted2024/01/09 11:00
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph by
Kiichi Matsumoto
2023年限りでの引退を発表した柏木陽介は、2010年代のJリーグを代表するプレーメーカーと言って過言ではないだろう。「ミシャ」ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下、サンフレッチェ広島で頭角を現し、浦和レッズではACL、ルヴァン杯制覇も経験。ザックジャパン時代には2011年アジアカップを制覇したメンバーの1人でもある。
そんな彼に、まずは引退を決断するトリガーの1つとなった2022年のアキレス腱断裂、そしてFC岐阜でのラストシーズンについて聞いた。
◇ ◇ ◇
元々、そんなに長くやりたいとは思ってなかったんです
――18年間、お疲れ様でした。
「長かったようで、意外にあっという間の18年でしたね」
――改めて引退を決断した理由を聞かせてください。
「元々、そんなに長くやりたいとは思ってなかったんですよ。動けるうちに辞めたかったっていうのは、ずっと思っていたこと。動けないのに必死に頑張るっていうのは、自分としては嫌だったので。
あとはやっぱり、フィジカルだったり、強度が重視される現代サッカーに対して、ギャップや難しさを感じたこともあります。今のサッカーが面白いっていう人もたくさんいると思いますけど、僕の中ではアイデアあるプレー、チームとしての繋がりだったり、そういうところがサッカーの醍醐味だと思っていたので。今はそういう要素が減ってきたなかで、続けていくのは難しいのかなと」
――昨年(2022年)にアキレス腱を断裂したことも影響していますか?
「そうですね。あの怪我をした時に、心の中では引退だろうなっていうのは思いましたね。ただこの状態では終わりたくないなとも思って。もう1回ピッチに立って、ちょっとでも子どもにサッカーをしている姿を見せたいとか、チームメイトに何かを伝えたいっていう想いがあったので、しっかりと復帰してから辞めようと」
怪我をしてからは、引退が頭から消えることはなかった
――では1年前から引退を考えていたわけですね。
「実はアキレス腱を切った時も、ちょっと笑ってしまったくらいで(笑)。音ですぐにわかったから『ああ、やっちゃったな』と。僕のサッカー人生もいろいろありましたけど、そのすべてに意味があると思っていて。 それで、このタイミングで切れたってことは、これも何かを意味しているんじゃないのかなと。またいろいろと考える時間になったし、逆に次に進むためのいいきっかけになったのかなって」
――サッカーの神様からのお告げのようなもの?