- #1
- #2
熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
メッシ効果で総収入169億円+スアレス加入「インテル・マイアミ」のナゾ…“2115億円大富豪兄弟”とWBC現地探訪で知った“中南米感”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byMike Ehrmann/Getty Images
posted2024/01/07 17:00
メッシに加えてブスケッツ、スアレスらワールドクラスが加わったインテル・マイアミとはどんなサッカークラブなのか
生みの親は、マンチェスター・ユナイテッド、レアル・マドリーなどで活躍した元イングランド代表MFの名手デビッド・ベッカム。キャリア終盤の2007年、MLSのロサンゼルス・ギャラクシーに入団した際、契約内容に「将来、希望すればMLSの新クラブを創設する権利を2500万ドル(約35億円)で入手できる」という条項が含まれていた。
2012年までロサンゼルス・ギャラクシーでプレーしてMLSに大きな可能性を感じたベッカムは、引退後の2014年、マイアミにクラブを設立する準備を始めた。気候が温暖で自由闊達な雰囲気が漂うマイアミが気に入ったのと同時に、「ヒスパニックやラテン系の住民が多いから、今後、フットボールが人気を集める可能性は十分にある」と考えた。
当初、孫正義も共同オーナーに名を連ねていた
確かに、中南米諸国のうちキューバ、ドミニカ、ベネズエラなどは野球が盛んだが、大多数の国ではフットボールが圧倒的な人気を誇る。筆者がマイアミに滞在した際、空き地や広場でボールを蹴る子供たちが多かった(ただし、それからわずか4カ月後、メッシがやってくるとは夢にも思わなかった)。
ベッカムは、クラブを創設するにあたって共同オーナーを募った。その中には、マイアミ在住のホルヘ・マスとホセ・マスという兄弟のビジネスマン、孫正義ソフトバンク取締役らがいた。
2018年、インテル・マイアミが創設された。チームカラーはピンク、黒、白で、マスコットは白鷺。エンブレムの中に、二羽の白鷺があしらわれている。2020年からMLSに参加し、翌2021年にベッカムとマス兄弟が孫氏らの株式を買い取り、現在はホルヘ・マスがマネージング・オーナーでベッカム、ホセ、地元の不動産会社が共同オーナーとなっている。
キューバから亡命の父を持つ兄弟の資産は2115億円以上
マス兄弟の父親はキューバ生まれで、1959年キューバ革命の後にアメリカへ亡命。1961年4月のピッグス湾事件(別名ヒロン浜侵攻事件。アメリカ在住の亡命キューバ人部隊がフィデル・カストロ政権打倒を目指してキューバへ侵攻したが、5日間で制圧された)に参加した武勇伝の持ち主だ。マイアミにエンジニアリング・建設会社「マス・テック」を設立して巨万の富を築き、現在はホルヘが最大株主でホセがCEO。ホルヘは、スペイン2部レアル・サラゴサの会長でもある。2人は、資産合計が15億ドル(約2115億円)以上と推定される大富豪だ。