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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「初恋の女性と二度と会えない」号泣スアレス16歳が「噛みつき、W杯でゴール阻止ハンド」狂気のFWになるまで〈親友メッシと再タッグ〉
posted2024/01/07 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Mike Ehrmann/Getty Images
クラブと代表で計3度、試合中に相手選手に噛みついて出場停止処分を受けた。1度ならず2度、3度と繰り返すところが常人には全く理解不能。これについて、本人は彼なりの説明をしているが……。
同点で迎えたワールドカップ準々決勝の延長終了直前、相手選手の決定的なシュートを故意に手で止めた。主審はPKの判定で、彼にはレッドカード。しかし、チームは敵のPK失敗で命拾いし、PK戦を制して準決勝へ。このプレーは世界中のファンから非難されたが、母国では「ベスト4入りの立役者の一人」として崇められた――。
タイミングを見計らったスペースへの鋭い飛び出し、巧みなドリブル、右足からの強烈なシュートが特長で、なおかつ大試合で抜群の勝負強さを発揮する。ニックネームは、「ピストレイロ」(ガンマン)。傑出した点取り屋として勇名を轟かせた反面、数々の問題行動で物議を醸してきた。
この36歳の“狂気のストライカー”が、親友リオネル・メッシ(アルゼンチン代表FW)から“ラブコール”を受けて今年、インテル・マイアミ(MLS=アメリカ1部)で一緒にプレーする。
ルイス・スアレスは、アルゼンチン国境に近いウルグアイ北西部の小都市サルトの貧困家庭で生まれた。7歳のときに地元の小クラブに入り、11歳で首都モンテビデオの強豪ナシオナルのアカデミーに加わる。しかし、勉強は大嫌いで、「友人とのディスコに行ったりして夜遊びをするのが楽しくて」(本人)練習にも身が入らない“落ちこぼれ”だった。
16歳スアレスが「初恋の人ともう会えない」と泣いた日
そんな少年を一変させたのが、初恋の女性ソフィア(現夫人)だった。「プロ選手を目指すのなら、一生懸命に練習しなくちゃ」、「勉強もするのよ。あなたは頭が悪いんじゃない。少し怠け癖があるだけ」と叱咤激励を続けた。
ところが、2003年、スアレスが16歳のときにソフィア一家は父親の仕事の関係でバルセロナへ移住してしまう。
彼女がウルグアイを離れた日、彼は泣いた。