箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「圭汰が抜かれるなんて…」駒澤大の食堂は静まり返った「こんなこと今までなかった」監督&選手が証言する“最強軍団が青学大に完敗するまで”
posted2024/01/05 06:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Naoya Sanuki
箱根駅伝の復路は、まさかの展開になりつつあった。
藤田敦史監督が見ていたテレビ画面には6区の帰山侑大(2年)が山頂付近で苦しそうに顔を歪めて走っているシーンが映し出されていた。
「おかしい。こんなこと今までなかった。何かが起きたんだと思いました」
昨年6区区間賞の2年生は「インフルエンザ」で調整不良
前日の往路、駒澤大は青学大に2分38秒差を付けられて2位に終わった。
逆転優勝を果たすには、かなり厳しいタイム差だが、それでも山下りで2分ぐらいまで縮め、7区から9区まで各30秒ずつ詰めていければ追いつけると踏んだ。そのためには、「攻めていく」と藤田監督が宣言した6区の走りが非常に重要だった。
だが、レース後に差し込みがあったことを吐露した帰山は、ペースが上がらず、スピードに乗った下りができなかった。小涌園(9キロ)では3分18秒、函嶺洞門(17.1キロ)では3分45秒差に広げられ、当初のプランとは真逆の展開になってしまった。
本来なら前回、6区区間賞の伊藤蒼唯(2年)が走る予定だったが、全日本大学駅伝後、インフルエンザにかかり、12月に入って練習を始めた。一方、帰山はその期間も練習をしっかりと積むことができており、調子が良かった。4区山川拓馬(2年)、6区帰山の起用は早い段階で決まった。
帰山は責任を感じて、涙を流した
昨年は当日変更で伊藤と交代し、悔しい思いをした帰山だが、今回は出走が決まり、区間賞獲得を自分に課した。
だが、箱根の山下りは甘くはなかった。