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「圭汰が抜かれるなんて…」駒澤大の食堂は静まり返った「こんなこと今までなかった」監督&選手が証言する“最強軍団が青学大に完敗するまで” 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNaoya Sanuki

posted2024/01/05 06:00

「圭汰が抜かれるなんて…」駒澤大の食堂は静まり返った「こんなこと今までなかった」監督&選手が証言する“最強軍団が青学大に完敗するまで”<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

3区で22秒差を詰めて、駒大・佐藤圭汰(右)の背後につき、追い抜こうとする青学大・太田蒼生。藤色の最強軍団はまさかの展開に言葉を失った

 最後までペースが上がらず、7区の安原太陽(4年)に襷を渡した時には、青学大との差は4分17秒まで広がった。この時点で、現実的には逆転が絶望的になった。帰山は責任を感じて、涙を流した。

今季ずっと先頭でレースをしてきたので…

 藤田監督は、狙い通りにいかない難しさを感じたという。

「6区で少しでも前との差を詰めていくことができれば、追撃態勢を整えることができたと思うんですけど、それがまずできなかったというところで精神的なダメージを受けてしまった。あと、今季ずっと先頭でレースをしてきたので、後手に回ってしまったことで動揺が走ってしまったかなと思います」

 復路の出足で躓いたことは、残りの区間の選手の走りに如実に影響した。

 7区の安原は帰山の走りをカバーし、青学大を追わないといけない状態だったので、突っ込んで入った。だが、なかなか差が詰まらず、焦りが生じた。必死に前を追うが最後は足が止まった。青学大との差は8区の赤星雄斗(4年)に襷を渡す時には4分44秒に開いていた。

流れを変えられなかったのは本当に申し訳ない

「4年生として流れを変えていかないといけない中、流れを変えられなかったのは本当に申し訳ないです」

 安原は、果たすべき役割を果たせず、悔し涙を流した。

 その後も悪い流れを断ち切れず、区間ごとに差を広げられ、10区の庭瀬俊輝(3年)がゴールした時には、青学大と6分35秒もの差がついていた。

1区で多くの選手が「3冠が見えた」

 駒澤大は箱根を失い、歴史を作ることができなかった。

「大きかったのは、やっぱり3区ですね」

 藤田監督は、悔しさを滲ませてそう言った。

 3本柱の篠原倖太朗(3年)が1区、鈴木芽吹(4年)が2区、佐藤圭汰(2年)を3区に置き、この3区間で後続を大きく突き離すのが、駒澤大の戦略だった。

【次ページ】 エース・佐藤圭汰が抜かれた衝撃

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