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「圭汰が抜かれるなんて…」駒澤大の食堂は静まり返った「こんなこと今までなかった」監督&選手が証言する“最強軍団が青学大に完敗するまで”
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNaoya Sanuki
posted2024/01/05 06:00
3区で22秒差を詰めて、駒大・佐藤圭汰(右)の背後につき、追い抜こうとする青学大・太田蒼生。藤色の最強軍団はまさかの展開に言葉を失った
「ひとつはスタミナの差でしょうね。今回、年間を通してのスタミナ作りをやっていかないと箱根の距離になった時、脆さが出てきてしまうのを実感しました。青学は、年間通してスタミナ作りをしているというのを聞いているので、その差が出てしまったのかなと思います」
青学大は伝統的に長い距離を踏んで強化をしている。そこには、箱根では絶対に負けない、負けられないという執念みたいなものが感じられる。そういう空気がチーム内でうまく醸成され、自主的に練習に取り組み、力をつけていくといういいサイクルができている。その結果、とんでもない爆発力を持った選手が出てくる。それが3冠、箱根3連覇を達成した2017年の3区秋山雄飛であり、今回3区を駆けた太田だった。
世界の舞台と箱根の頂
彼らのような選手が生まれてくる背景について、藤田監督はこう語る。
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「そういう選手が生まれてくるのは、箱根に懸けているチームの特徴であり、強さだと思います。トラックレースをやっていくとスピードを出すために距離を踏むのを控える調整期間が必要になるのですが、箱根だけってなると、年間通して長い距離を走っていられます。そうして培われたものが箱根に出るのでしょう。うちは、世界を目指す選手の育成も同時に進行しているので、今後もスピード強化とスタミナ作りの両面でやって行きたいと思っていますが、今回の結果を見ると地道なスタミナ作りが足りなかったと思っています。そこは今後うちが取り組んでいかないといけない課題でしょうね」
現役時代、私も3冠に届かなかった。またか…
今後の課題について収穫はあったが、2年連続3冠にはあと一歩及ばなかった。そのことについて藤田監督は、どう考えているのだろうか。