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「申し訳ない…」青学大“走れなかったキャプテン”が泣いた日「志貴さんの言葉でひとつになれた」箱根駅伝1週間前の“涙のスピーチ”
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2024/01/03 21:30
青学大キャプテンの志貴勇斗(4年)。最後の箱根駅伝では16人の登録メンバーに入れなかった(写真は3年時の出雲駅伝で)
「監督がプレッシャーを軽くしてくれたのと、志貴をはじめとして、箱根を走れないメンバーの言葉が本当に力になりました」
最後の箱根、志貴は9区を走った同級生、倉本玄太に横浜駅前で並走し、給水をした。
それは偶然にも、3年前にも箱根駅伝を走れなかったキャプテンが走ったのと、同じ場所だった。
志貴は「僕が理想としているのは、僕が1年生の時の神林(勇太)さんです」と話していた。志貴が走ったのは、そう、神林が走ったのと、同じ道だった。
4年生で走れなかったことは、気持ちのどこかにざらついたものを残す。それでも、未来は人生のやすりとなって、ざらつきを滑らかにする。
そして12月28日、志貴の言葉はメンバーの心に刻まれた。
青山学院、この10年間で7度目の優勝。言葉の力は、かくも大きい。