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箱根駅伝=日テレじゃなかった? テレ東が昭和末期に逃した「箱根駅伝」というドル箱…37年前、スポーツ中継の常識を変えた日テレの“箱根山攻略”
posted2024/01/03 17:00
text by
高木圭介Keisuke Takagi
photograph by
Yuki Suenaga
今年で100回を迎えた箱根駅伝。1920(大正9)年に始まったというから、国内でも有数の歴史と伝統を誇るスポーツ大会であることは間違いない。だが、そのテレビ中継の歴史は浅いということはあまり知られていない……というか、案外と忘れ去られている。
今や日本テレビの正月番組における看板コンテンツに成長した箱根駅伝中継だが、箱根駅伝を初めてテレビで中継したのはテレビ東京(当時・東京12チャンネル)だった。それも1979年(昭和54年)のことだから、さほど古いワケでもない。もうガンダムや金八先生が放送される年のことだ。
45年前のテレビ欄を見ると……
その時のテレビ中継は1月3日の午後1時25分から2時10分まで。『箱根駅伝ゴール中継』と、新聞のテレビ欄にたった1行で収まる番組タイトルで、こっそりと放送されていた。要は復路のラスト、大手町でのゴール付近の模様のみが放送されていたようだ。ちなみにこの時は順天堂大学が13年ぶり2度目の優勝を達成している。
翌1980年(昭和55年)には、正午から午後3時40分まで放送された『新春スポーツスペシャル』なる、テニスやゴルフの中継をもミックスさせた番組内にて、同じく復路のみ鶴見付近における中継と、大手町でのゴールの模様が分割して生中継されている。以降、テレ東は工夫を凝らしつつ、復路の中継できるコースとゴール地点に厳選した駅伝中継を続けてきたのであった。
そして運命の1987年(昭和62年)。ついに現在と同じく日本テレビが局をあげて、いや読売グループの総力をあげつつ箱根駅伝の中継に乗り出すことになった。それも復路の厳選した地点だけでなく、往路のスタート地点から箱根山、折り返し地点と、2日間にわたっての生中継を実現させたのである。1月2日(金曜)は朝7時55分から10時30分、続いて正午から午後2時まで。1月3日(土曜)は朝7時55分から9時30分。正午から午後2時までという編成だった。
長い歴史を持つ箱根駅伝だが、それまでオール中継が実現していなかった理由は、決して人気がなかったからではない。現在ほど騒がれる目玉コンテンツではなかったにせよ、ラジオではかなり古い時期からNHKを中心に放送されていたことからも人気と関心が高かったことがわかる。