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【箱根駅伝】青学大・原監督が大会直前に泣いた日 “走れなかった主将”神林の本音「なんで自分なんだ…」
posted2021/01/03 19:50
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
KYODO
2020年12月16日。
箱根駅伝に向けての最終合宿を終え、青山学院大の主将、神林勇太の右脚は悲鳴を上げていた。
内転筋、大腿四頭筋、臀部に痛みがあった。それでも、鍼治療などを施した結果、ほぼ完治した。ところが、一か所だけ、どうしても痛みが取れない箇所があった。
仙骨である。
神林はいう。
「ポイント練習を抜いて、ジョグで1週間ほどつないだ時期があったんですが、それでも痛みが引かなくて。『これ、折れてるんだろうな』と思ってました」
改善しないまま、区間エントリーの前日である12月28日にMRI検査を受けることになる。
仙骨が折れていた。
「もう、走ることはないんですか?」
神林は、今回の箱根駅伝を陸上人生最後のレースと決めていた。
「箱根駅伝は、自分の人生を変えてくれた大会でした。これを区切りにして、陸上にはピリオドを打ちたいと思います」
就職先はサッポロビール。最終面接では、
「もう、走ることはないんですか?」
とまで質問された。
箱根駅伝が最後です。
神林は潔く、そう答えていた。
原監督は泣いていた
神林がMRIの結果を監督に報告すると、原監督も覚悟はしていたものの、少なからずショックを受けたようだった。そして12月30日、部員を前にしたミーティングで監督はこう話した。