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青学大、1区「9位」からの逆転劇…“最強”駒大と35秒差、1区2年生が語っていた“逆転の条件”「僕の後にまだ4人、明日は5人いる」
posted2024/01/04 06:00
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph by
Nanae Suzuki
1月2日、8時50分過ぎ。2区のランナーが待つ鶴見中継所近く、公園を貸し切って作られた待機エリア。陽が一瞬差し込んだ公園の一角で、スマホを手にした記者が誰にともなくつぶやく。
「これは、もう決まったな」
1区で「22区間連続首位」をキープした駒澤大
視線の先には2位駿河台大のS・レマイヤンを突き放す駒澤大学・篠原倖太朗の姿があった。3番手につけた青学大2年の荒巻朋熙はやや苦しげな表情を浮かべながら、日本大学・西村翔太(4年)が先導する4位集団に飲み込まれていく。9時1分、篠原は一足先に2区鈴木芽吹(4年)へ襷を渡す。中継所に日本テレビの実況アナウンサーの叫び声が響く。
《この駒澤を誰が止められるのか!?》
今季の大学駅伝、駒澤大学はすべての区間で首位を走り続けてきた。振り返れば、駒大・鈴木が昨年の箱根駅伝4区で1位となってから、この鶴見中継所まで22区間連続でその背中を他校に見せるばかり。2023年10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝と、まるで再放送でも見ているかのように藤色のユニフォームが先頭を走るシーンが繰り返された。
箱根駅伝ではそんな駒大の“一強”を揺るがす一番手と目されていた青学大。その先陣を切った荒巻は35秒差の9位で中継所を通過した。
レースの進め方としては間違いではなかったかな
1区を走り終えた選手たちが白色の仮設テントに吸い込まれていった後、区間賞の駒大3年生エースが姿を現す。篠原を中心に半円状にテレビクルー、記者30名ほどが取り囲む。喜びを語っていると、各大学の選手たちがユニフォームを着たまま続々とテントから出てくる。
その中にあって、黒のロングダウンに身を包み、荷物を持ち足早に中継所の待機場所から去ろうとする荒巻の姿があった。声をかけると、丁寧に荷物を置いて、カメラを前に率直な思いを吐露する。