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まさかの11連敗「お前はクビだ!」事件も…楽天・初代編成部長が見た“地獄”、初のドラフトは“ドタバタ指名”続き「彼はプロ志望届を出しているのか?」

posted2023/12/21 17:21

 
まさかの11連敗「お前はクビだ!」事件も…楽天・初代編成部長が見た“地獄”、初のドラフトは“ドタバタ指名”続き「彼はプロ志望届を出しているのか?」<Number Web> photograph by KYODO

2005年3月27日、楽天イーグルス1年目の開幕2戦目。ロッテに0対26と大敗した日のスコアボード

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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KYODO

50年ぶりの新規参入球団として誕生した楽天イーグルスも、今年創立19年を迎えた。2004年、突然の誘いで楽天の初代編成部長に就任した広野功。スカウトもいない状態で「ドラフトをなんとかしてくれ」と言われた広野は、一場靖弘(明治大)獲得へ動き出す。GM職まで兼務することになった広野の楽天時代を聞いた。【全3回の中編/前編後編も公開中】

◆◆◆

“契約金1億円”で「そんなにかかるのか?」

 一場靖弘は、明治大学のエースとして当時の六大学最速記録である154キロを計測。チームをリーグ完全優勝に導き、全日本大学野球選手権大会では完全試合を記録した六大学屈指の右腕だった。しかし、一場を自由枠での獲得を目指していた複数の球団による金銭の受け渡しが判明する。一連の金銭授受問題は、一場事件とも呼ばれ、巨人の渡邉恒雄オーナーをはじめ、阪神、横浜のオーナーが次々と辞任する大騒動になった。このような事件の影響で、各球団は一場から一斉に手を引いていたのだ。

「一場事件によって、それまで暗黙の了解で行われてきたプロ球団による裏金が問題となりました。ただ、楽天は新球団だから、なにも後ろめたいことはありません。うちは彼を指名する権利と義務があったんです。『行き場のない彼を救えるのはうちだけですよ』と、私は三木谷浩史オーナーに直訴しました。オーナーは『いくらなんだ?』と聞いたので、私は『ドラ1なんで、契約金は1億、年俸は1000万以上、プラスしてインセンティブがいります』と答えました。『そんなにかかるのか?』とちょっとびっくりしてましたが、それだけの選手ですと説明し、一場を指名することになりました」

 にもかかわらず、後日、三木谷オーナーは「ダルビッシュはどうか」と言い出したという。彼はすでに日ハムの指名で決まっていたため、広野は「どうしてもというなら、5億円の予算があれば崩せるかもしれません」と提案。さすがにそんな金は出ず、予定通り一場の1位指名に落ち着いたという。

ドタバタ指名「彼はプロ志望届を出しているのか?」

 こうした広野の大車輪の働きをもってしても、ドラフト会議までの準備期間はあまりに短かった。そのため当日の楽天のテーブルは大忙しだったという。

【次ページ】 ドタバタ指名「彼はプロ志望届を出しているのか?」

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