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監督・阿部慎之助は成功するか? 「巨人で僕のリードは評価されてません」かつて“本音”を聞いた名スコアラーが語る「マスコミの活用も大事」
posted2023/12/15 17:02
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph by
JIJI PRESS
「真ん中に投げろ」「暴走していい」「自己犠牲を重要視する」
各メディアで報じられた“新監督の言葉”はチームにどんな影響を与えるのか。通算17年間も指揮を執った65歳の原辰徳監督に代わって、44歳の阿部慎之助が巨人軍の第20代監督に就任した。秋季キャンプでは制球の定まらない若手投手に「真ん中に投げろ」と逆転の発想を促し、野手陣には「暴走していい」と積極的な走塁を求めた。その上で、「自己犠牲を重要視する」とチームプレーの大切さを説いた。三宅は阿部監督の指令に納得する。
「自分の成績を優先する選手がいると勝てない。暗黒期の阪神がまさに個人主義のチームだった。その意識を野村監督や星野監督、広島から来た金本知憲が変えた。今年の岡田監督も、四球や進塁打を重視した。チームで1点を取りに行く野球で日本一になったでしょ。阿部監督も現役時代、チームのためにバントをしているし、強い頃の巨人は主軸でも自己犠牲を厭わなかった。だから、何度も優勝できたんよ」
「巨人では僕のリードは評価されてません」
三宅と阿部の出会いは16年前に遡る。2007年、星野仙一が北京五輪の代表監督に就任。65歳の前年限りで阪神から身を引いた三宅はスコアラーとして招聘された。この年、阿部は33本塁打、101打点をマーク。チーム防御率3.58はリーグ2位で、暴投と捕逸は計36でリーグ最少。打者でも捕手でも十分に役割を果たし、巨人を5年ぶりの優勝に導いた。アジア予選を控えた11月、宮崎合宿で阿部と顔を合わせた三宅は本音を明かした。
三宅:阪神でスコアラーしている時、本当に嫌な存在やったんや。リードもうまいし、バッティングもいいしな。
阿部:巨人では僕のリードは評価されてません。そんなに悪いですか?
三宅:いや、ワシらからすれば悪いリードなんて1つもなかったで。