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監督・阿部慎之助は成功するか? 「巨人で僕のリードは評価されてません」かつて“本音”を聞いた名スコアラーが語る「マスコミの活用も大事」
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2023/12/15 17:02
11月23日、巨人のファン感謝イベントでユニフォーム姿を披露した阿部慎之助監督
三宅の言葉に、阿部は微笑んだ。同じ釜の飯を食いながら、三宅はなぜ阿部のリードが相手を幻惑するか理解した。
阿部から「高級梅干し」プレゼント
「ワシ、びっくりしたんよ。ミーティングで誰よりも早く来て、対戦相手のVTRを見ていた。『三宅さん、この打者にはどんな球から入ったほうがいいですかね』とかよく聞かれたよ。何度も巻き戻して、バッターの癖も探していた。よく研究するんよ」
北京五輪予選に向けて、三宅はメジャーリーグや国内リーグなどを視察して韓国、チャイニーズタイペイ、フィリピンの代表候補100人ずつものデータを集めていた。その労苦をねぎらい、阿部はプレゼントを贈った。
「『三宅さん、梅干し食べますか。和歌山に美味しいのがあるんですよ』と言うて送ってくれたんよ。ウチの嫁が『こんな梅干し食べたことない』って喜んどったわ。そりゃそうや、20粒くらいで7000円くらいするもん(笑)」
「威圧的な印象」は本当?
チームリーダーとして裏方にも気を配る阿部だが、世間には威圧的なイメージを持つ人もいるかもしれない。きっかけは2012年、日本ハムとの日本シリーズ第2戦だった。初回、先発の澤村拓一が陽岱鋼、中田翔に死球を与え、2死一、二塁で5番の稲葉篤紀を迎えた。澤村が牽制のサインを見落とすと、阿部がマウンドに駆け寄って頭を叩いた。二軍監督1年目の3月には、プロアマ交流戦で早稲田大学に6対9で敗れた後に“罰走”を命じて物議を醸した。
「選手の性格、チームの置かれた状況を考えての行動だったと思うよ。北京五輪の予選や本戦では、阿部より年下のピッチャーが多かったけど、話しやすい雰囲気を作って、お互いがハッキリと意見を出し合っていた。威圧的な感じはなかったよ」
阿部より10歳年下で、サイドスローの中継ぎとしてバッテリーを組んでいた元巨人・田原誠次はこう語っている。