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「エンドウはロッカールームでよく話すようになった」サラーが番記者に明かした遠藤航への評価「冬の移籍市場、リバプールが6番タイプを補強するウワサは?」
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ジェームズ・ピアース(The Athletic)James Pearce
photograph byGetty Images
posted2023/12/12 17:47
12月3日のフラム戦。後半44分に貴重な同点弾を決めた遠藤航。プレミアリーグ初ゴールだった
実際に得点シーンで、遠藤は非常に落ち着いていた。サラーからパスを受けると決して慌てず、確かな技術を生かしてゴールに流し込んだ。守備やデュエルだけではなく、より多くのこと、つまり得点をもたらせることも証明したわけだ。
試合後アレクサンダー・アーノルドが「背後から見ていて、遠藤のシュートは吸い込まれるようにネットに入った。あのゴールも遠藤のクオリティ。ファンも予想していなかったと思うが、傑出したフィニッシュだった」と褒め称えたように、チームメートやサポーターの信頼はこれまで以上に高まるはずだ。
番記者の評価「悪い試合もあった」
とはいえ遠藤は、プレミアリーグでの先発がそれまで2回しかなく、主戦場は優先順位の落ちる欧州リーグとカップ戦だった。正直に言えば、100%満足のいくスタートを切ったとは言い難かった。しかしこのゴールは、ひとつの転機になると思う。実際に得点後、プレミアリーグで2試合連続の先発を命じられた。それほど、価値のある得点だった。
今一度、遠藤のここまでのプレーを振り返りたい。内容の良い試合もあれば、悪い試合もあった。例えば、10月5日のサンジロワーズ戦(欧州リーグ)では前半だけで交代を命じられた。その一方で、クラブ初ゴールを決めたトゥールーズ戦や、先発フル出場を果たしたLASKリンツ戦(いずれも欧州リーグ)では周囲を納得させるパフォーマンスを披露した。印象に残る試合もあれば、苦戦した試合もあった。これが、ここまでの遠藤だろう。言い換えれば、一貫性と持続性に欠けていたと、そう評価できる。
ただし、である。「プレミアリーグは適応が難しい」とよく言われる。試合展開の速さは世界トップレベルで、球際の激しさも尋常ではない。MFのレギュラーであるアレクシス・マクアリステルやソボスライ・ドミニクと違い、移籍市場の閉幕直前に加入した日本代表は、プレシーズンマッチを消化することなくリバプールに参戦した。つまり、ドイツからやってきて、すぐにプレミアリーグの戦いに投げ出されたわけだ。当然、容易なスタートではなかっただろう。
チームメートとの連携はもちろん、イングランドサッカーの速さや激しさ、フィジカルの強さに慣れることなくスタートした事実は考慮する必要がある。
サポーターの評価「最適な選手がいない」
それでも、クラブに大きな期待を寄せるサポーターの考えは少しばかり違う。