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「入れちゃダメですか」オリックス中嶋聡監督が決断した“幻の秘策”…日本シリーズ第5戦、エース山本由伸はなぜ“まさかのベンチ入り”したのか?
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2023/12/13 11:03
日本シリーズ第6戦で14奪三振の完投勝利をおさめたオリックス・山本由伸。実は第5戦でもベンチ入りし、リリーフ登板という“幻の秘策”も用意されていた
田嶋が5回などで早々に降板しても、リードしている展開もあり得る。その場合は継投の順番も変えるつもりだった。守護神の平野佳寿にも火急の方針を説明した。
「もしかしたら、8回に行くかもしれない」
そして、山本にはリリーフエースとして、9回を託す。3年連続沢村賞投手を日本シリーズの大一番で守護神に抜擢する。第6、7戦もそのまま勝負所で救援の切り札として投入する。何としても第5戦を勝ちたい中嶋が決断した、このシリーズ最大の秘策だっただろう。
だが、一方で、チームには切迫感が漂い、戦いに微妙な影を落とした。
岡田監督から湯浅への「まだ終わってないぞ」
実力伯仲の激闘は第5戦の8回の攻防から大きく転回していった。時間にして36分。その主役を演じたのは阪神である。7回まではオリックスに押されていた。田嶋を打ち崩せない。しかも、7回は中野拓夢と森下翔太のダブルエラーで失点を重ねて2点の劣勢となり、完全に流れを失っていた。
だからこそ、8回表のマウンドに上がった湯浅京己は自らに言い聞かせた。
「絶対に3人で抑える」
走者を1人でも出せば、流れを劇的には変えられない。昨年、セ・リーグの最優秀中継ぎ投手賞に輝いた、今季開幕時の守護神は、自分の役割をわきまえていた。
1死後、紅林弘太郎に対した。2球で追い込み、最後は走者なしでもクイックで間合いを外し、151km直球で空を切らせた。
「タイミングを変えようとしました。紅林選手は逆方向に詰まった感じのヒットが多く、調子がいいのも頭に入っていました」
日本シリーズが開幕した時、湯浅の姿はそこにはなかった。
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