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「カマダは長い目で見なきゃ。ひと目で分かるぜ」“ラツィオサポ聖地パブ”で聞いたナマ鎌田大地評…って、なぜ店内に日本代表フラッグが?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byNurPhoto/Getty Images,Takashi Yuge
posted2023/11/30 20:15
CLセルティック戦後、古橋亨梧と健闘を称え合う鎌田大地。ラツィオサポ御用達パブの店主ジャンルカ・クルヅィさん(52)たちはどう見てる?
タイムアップとともに、大一番での勝利を祝うクラブアンセムが響き渡った。水色を身にまとう人びとは冬空へ声高らかに歌う。
泣いたり、怒ったり、笑ったり。イタリアのサッカーは忙しい。
否、サッカーの悲喜こもごもに国の色は関係なかった。
2500キロ離れた北の彼方グラスゴーからはるばる駆けつけたセルティック・サポーターたちは夢破れ、無言でオリンピコのグラウンドを見つめている。
ミックスゾーンに姿を現した鎌田の“矜持と人間らしさ”
試合後、鎌田はミックスゾーンへ一番に姿を現した。
グループ突破へ王手をかける起死回生の大勝利に「勝ててよかった」とは言うものの、笑み一つこぼさない。わずか12分のプレー時間、ほとんどボールに触れなかった。
イタリアに来て4カ月、順応の手応えは。
チームが抱える危機感。
最もサッカー観が近いと感じるチームメイト。
質問を重ねると、鎌田は低い声で彼なりの答えを探し、きちんと述べてくれた。感情の起伏を表に出さないのが矜持と見え、僕はそれも彼の人間らしさだと思った。
鎌田の後ろをルイス・アルベルトとペドロ、フェリペ・アンデルソンのラテン男3人衆が談笑しながら去っていく。ご機嫌の彼らはまるで部活帰りのサッカー少年のようだった。
7、8分過ぎたあたりで突然、こちらを見咎めたラツィオ広報氏から「ストップ」の声がかかった。
長年の慣習でミックスゾーンでの選手取材に制限なしと認識していた。だがUEFAオフィサー立会いの下、ミックスゾーンでのコメント取りが許されるのはクラブ選定の数人のみで「鎌田は今夜コメントを出す選手と認められていない」と通告された。取材の現場では年々ステークホルダー保護の強化を感じる。
ラツィアーレ御用達パブに入ると濃すぎる空間が
僕はオリンピコを出ると、寒空の下、テベレ川を東に上った。目指す先はローマ市内北部のヴェスコヴィオ広場4番地、ラツィアーレ御用達として名高い英国風パブ「エクスカリバー」だ。