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「カマダは長い目で見なきゃ。ひと目で分かるぜ」“ラツィオサポ聖地パブ”で聞いたナマ鎌田大地評…って、なぜ店内に日本代表フラッグが?
posted2023/11/30 20:15
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
NurPhoto/Getty Images,Takashi Yuge
寒風のオリンピコ・スタジアムが熱く湧いた。
11月28日、UEFAチャンピオンズリーグ(以下CL)のグループE第5節、ラツィオはセルティックを2-0で下し、同組別カードでフェイエノールトに完勝したアトレティコ・マドリーとともに決勝トーナメント進出を決めた。
3日前、セリエA最下位のサレルニターナに敗れ恥辱にまみれたチームが一転、欧州16強に名乗りを上げたのだから、サッカーというやつはつくづく奇妙で素晴らしい。
ベテランSDの活に応え、ラツィオはCL決勝T進出
弛んだラツィオの選手たちに活を入れたのは、カルチョ界のベテランSD(スポーツ・ディレクター)ファビアーニだ。
「うちが最下位に負けるだと? お前ら、いい加減にしろよ。どうせ責任とるのは監督だとか考えているやつがいたら大間違いだ。泥水すするのは(フロントの)俺含めて全員だぞ。チームには血反吐吐くまで走れる人間が6、7人もいればいい。腑抜けたプレーしかできないやつは、ホラ、出口のドアは開いているからいつでも出ていけ」
ドスの利いた叱責がきいたらしく、セルティック戦でのラツィオはキックオフから見違えた。アグレッシブに速攻をしかけ、守備陣も集中して怠らない。
後がないセルティックも敵地ながら懸命にボールをつなぎ、FW古橋亨梧を中心に何度も相手ゴールを脅かしたが、発熱をおして出場したGKプロヴェデルらラツィオ守備陣がこれを退けた。
熱戦の均衡を破ったのは、ラツィオの主将FWインモービレだった。82分、右サイドのFWイサクセンが放った難しいバウンドボールに飛び込みダイレクトで押し込むと、3分後にも同じコンビで追加点。指揮官サッリの「CLでは奇跡が起きる」という予言は当たり、オリンピコは興奮の坩堝と化した。
鎌田はプレスに勤しみ勝利、サポは声高らかに歌った
MF鎌田大地は84分に司令塔ルイス・アルベルトと交代し、左サイドハーフとして出場。終盤になお食い下がる相手へプレスに勤しんだ。
後半アディショナルタイムの不可解なPK判定もVARで覆り、観衆5万人分のため息が漏れる。サレルニターナ戦からこっち、ラツィアーレ(ラツィオファンの通称)の感情バロメーターは振り切れっぱなしだ。