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「カマダは…好きなタイプだ。だが」サッリ親分“鎌田大地サブ続きのワケ”に思い出す中村俊輔、小笠原満男の“イタリアサッカー観との違い”
posted2023/11/30 20:11
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Ivan Romano/Getty Images
ミステル、鎌田について2つほどお聞きします。
「2つも? 今日は疲れているんだ、手短にしてくれ」
多少ぼやかれるくらいは想定内だ。すかさず、すぐ済ませますよ、と続けて会場の笑いを誘い、場を和ませて本題に移った。
鎌田は……私が好きなタイプの選手だ。だが
問うたのは、次節サレルニターナ戦でのL・アルベルトの代役は鎌田で決まりかということ。そして、鎌田が(イタリアの現状で)彼本来のプレーをするために欠けているものは何か、というものだった。
「鎌田は……私が好きなタイプの選手だ。だが、このチームには(不可欠の司令塔)L・アルベルトがいる以上、起用法に悩む選手でもある。理由はいろいろあるが、鎌田はラツィオにもイタリアのサッカーにも十分順応するだろう。彼の出場時間が少ないとは考えていないし、実際、直近のCLの試合(※11月7日のフェイエノールト戦)にもスタメン起用していいプレーをしてくれた。我々にとって大事な存在になってくれるかもしれないプレーヤーだし、本当にそうなってほしいと願っている」
親分は質問への直接の答えはくれなかったが、会見でのやり取りではよくあることなので気にならない。サッリの言い分は“L・アルベルト以外の選手にスタメン保証はない。鎌田は、長丁場のシーズンで対戦相手とコンディションに合わせて起用していくMFたちのユニットの1人。ポテンシャルは買っているのだから早いうちに結果を出してほしい”というシンプルなものだ。
機動サッカーをあきらめて現実路線にシフト
重要なのは、この現状を鎌田がどう受け止めているかだろう。
シーズン当初こそ4-3-3の右インサイドハーフとして先発の座を与えられていた鎌田だが、よもやの開幕連敗スタートを喫したサッリは、低迷脱出のためにフィジカルでゴリ押しするプレーとそれに見合うMFゲンドゥージや経験豊富ないぶし銀MFベシーノの起用を優先した。