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《内田篤人単独インタビュー》「だから、今の仕事は本当にありがたくて」 “コーチ第一歩”での悩みとシャルケ・アンバサダー就任の真相
posted2022/02/05 11:01
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
JFA/AFLO
昨年5月、内田篤人がシャルケのアンバサダーに就任した。引退後に海外のビッグクラブの役職に就いた日本人はサッカー界ではほとんど例がなく、スポーツ界を見渡してもイチローや松井秀喜くらいだ。
コロナ禍で渡航に制限があるため、活動はまだ本格化していない。だが、内田がアンバサダーの仕事を名誉職だと考えているわけではない。
今は、活動が本格化できそうなコロナ後の世界のために勉強と経験を積み、パワーを貯めている時期だ。前編ではアンバサダーになった経緯と今後の展望、さらには指導者としての活動を始めて見えてきた話もじっくり語ってもらった。
日本とドイツやシャルケをつなぐような仕事を
――自ら熱望してアンバサダーになったそうですね?
「引退したあと、お世話になったシャルケとつながりたいと代理人の秋山(祐輔)さんに伝えて、コンタクトをとってもらって。シャルケからの要望にも応えたいけど、オレの方からも、日本とドイツやシャルケをつなぐような仕事が何かしら出来るかなと思っていて」
――というと?
「今はU-18の日本代表やパリ五輪を目指す代表チームを(ロールモデルコーチとして)見させてもらっていますが、たとえば、若い選手たちがシャルケのトップチームの練習に参加する手助けをできたら面白いなと。所属チームなどの事情もあるから簡単ではないけど、そこでシャルケや、他クラブの目にとまって……みたいなこともあるかもしれないし。
あとは、オレがシャルケの試合などを見に行きたいから」
――あふれるほどのシャルケ愛ですね。しかし、若い日本人選手たちのためにそこまで考えているのはなぜですか?
「コーチ業をやり始めたからかな。やはり、若いうちにヨーロッパの雰囲気やサッカーに触れておかないとダメだなと感じて。今はコロナの影響で、海外のチームとなかなか対戦できないけど、それはマイナスだから」
Jリーグのスタイルと、ヨーロッパのスタイル
――Jリーグの発展をみんなが願っているというのは大前提ですが、どうしても日本の価値観のなかで成長することを良しとする傾向があります。海外の選手やチームと対戦する意義は大きいですか?
「日本でチャンピオンになることだけが目的なら話は別だけど、日本代表が戦う時、相手は絶対に外国人の選手ばかりのチームでしょう?」
――そうですね!
「海外のチームを倒すためには、海外のチームと試合をしないと。国際試合は、国内のチームとの戦いとは種類が違うから。年齢問わず、それはあてはまる」
――何が異なるのでしょう?