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「まるでミステリー」大谷翔平のFA“情報がまったく出ない”ナゾ…重要人物ネズ・バレロとは何者か? 衝撃の結末もある“メジャーの契約事情”
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byAFLO
posted2023/11/15 06:00
大谷翔平と代理人のネズ・バレロ氏(写真は2017年エンゼルス入団時)
それでも、突然浮上してきたミステリー・チームが最終的にベールを脱ぎ、争奪戦に勝利したという異例のFA劇も過去には起こっている。2019年2月21日にパドレスとFA史上最高額(当時)の10年総額3億ドルで契約したマニー・マチャド内野手の争奪戦がそうだった。同年1月中旬の時点でマチャド争奪戦はヤンキース、ドジャース、ホワイトソックス、フィリーズの4球団が有力とされ、最終的にホワイトソックスとフィリーズに絞られ、この2球団による一騎打ちと伝えられていた。ところが1月18日になって、マチャドの父が「誰も想像していない球団がマチャドと契約するだろう」と発言したことからミステリー・チームが急浮上。「ミステリー・チームがマチャドと面談した」「ミステリー・チームがマチャドに最高額のオファーを出した」と散々騒がれた末に、それまでまったく名前が挙がっていなかったパドレスと電撃契約するという驚きの結末となった。
さて大谷の場合は、果たしてミステリー・チームが現れるのかどうか。
大谷の代理人…ネズ・バレロとは何者か?
それはひとえに、代理人のネズ・バレロ氏がどんな交渉をするかによるだろう。北米の「最も力を持つスポーツエージェント」ランキングでも上位に名を連ねる同氏は、他の名物スーパーエージェントのようなアクの強さや剛腕のイメージはあまりないが、担当する選手の意向に沿った丁寧な仕事をするという印象だ。コロナ禍があってから代理人の仕事もオンラインを通じて行うことが増えたそうだが、バレロ氏は人とコミュニケーションを取るときは直接対面で相手と目を合わせ、同じ空気を吸いながら行うのがベストと考えるタイプだという。今年7月にシアトルで行われたオールスターに足を運び大谷と食事をしたことが伝わっているが、担当する選手ともそうした機会をよく作っているようだ。
そんなバレロ氏が、注目を一身に集めている大谷の契約をどう交渉し、まとめていくのか。