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時間短縮、動員回復、盗塁激増……。新ルールはMLBをどう変えたのか。
posted2023/11/16 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
今季から導入された新ルールは、メジャー全体に様々な変化をもたらした。当初は、選手会をはじめ、選手や関係者の間では反対意見も聞かれたが、結果的には一定の評価を得られる形となった。
試合時間短縮を目的とした「ピッチクロック」は、劇的な結果を生んだ。昨季は3時間4分だった9イニングの平均試合時間は、2時間40分と24分も短縮。2021年は390試合あった3時間30分以上の試合はわずか9試合と、テンポの良い試合が浸透した。その結果、球界全体で昨季から9.6%増となる約7075万人の観客動員を記録し、'17年以来6年ぶりに大台を突破した。時間短縮によって、低年齢層や高齢者の客足が伸びたものと見られており、特定の人気球団だけでなく、30球団中26球団で観客増となった。また、試合映像のストリーミングの視聴時間も昨季から9%増の計127億分と過去最高をマークするなど、コロナ禍以来、停滞気味だったメジャー人気は、着実に復調したといえる。