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年俸270万円が今や“20億超え”…メッツ千賀滉大の逆転人生「なぜ無名の高校生がスカウトされた?」山本由伸と比較する“どちらが最強か” 

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太田俊明

太田俊明Toshiaki Ota

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posted2023/11/14 06:00

年俸270万円が今や“20億超え”…メッツ千賀滉大の逆転人生「なぜ無名の高校生がスカウトされた?」山本由伸と比較する“どちらが最強か”<Number Web> photograph by Getty Images

驚きの大出世を果たした千賀滉大(メッツ)

「僕はもともと体が虚弱ですぐに肩や肘を痛めるタイプだったこともあり、高校時代などはほとんど満足に投げられたことがありません」(『千賀滉大のピッチングバイブル』2022年/ベースボール・マガジン社)

 ソフトバンク三軍で千賀を初めて見た投手コーチの倉野信次は、「身体が柔らかく可動域が広い。しかし、筋力がなく、全体的に体力がなかった。これまで見てきた選手の中で3本の指に入るほど体力がなかった」と語っている(『日本プロ野球育成新論』2020年/大道典良著/徳間書店)。

なぜ急成長? 理由2)三軍制の存在

 急成長の秘密その2は、めぐり合わせである。無名だった千賀がなぜソフトバンクに入団できたのか。

 千賀はどの球団のスカウト網にもかかっていなかったが、愛知県のアマチュア野球ウォッチャーだったスポーツショップの店主が千賀の投球を見て可能性を感じ、旧知のソフトバンクのスカウトに連絡した。これが1つ目の幸運。

 加えて、この年(2010年)ソフトバンクは球界に先駆けて三軍を立ち上げて若手を育成する方針を打ち出していた。千賀や甲斐は、2011年にスタートしたソフトバンク三軍の一期生にあたる。もし三軍がなければ、千賀は指名されていなかったかもしれない。これが2つ目の幸運だった。

 背番号128の千賀は、徹底的に走って下半身と体幹の強化を図った。その結果、体重は75キロから81キロに増加。球威も増して、2011年8月の中日との二軍戦で高校時代のマックス144キロをはるかに超える150キロを出した。実戦より成長を重視する育成制度、そしてソフトバンクの三軍制がはまった好例と言えるだろう。

なぜ急成長? 理由3)類まれなる向上心

 急成長の秘密その3が、本人の高い意識と独特の練習方法だ。

 千賀は、ソフトバンクに入団した当時から“日の丸を背負う投手になる”という意識を持っていたという。

【次ページ】 話題を呼んだ「3割打者はいなくなる」発言

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