「常廣投手は先発として試合をつくる安定感があるので、チームとして計算できる投手になると思います。大学生の投手に好素材が多い今年のドラフトの傾向と、チームの補強ポイントを考えた形になっています」

　即戦力を期待する投手4人と高校生の遊撃手2人を指名した阪神と、1位から3位までを大学生と社会人の投手で固めたヤクルトについても、山崎さんは「チームの意図が見えるドラフト」と評した。ただ、現有戦力が充実している阪神と違い、先発投手の駒が不足しているヤクルトに対しては「ドラフトだけでは埋まりません。新人選手はプラスアルファの戦力くらいに考えて、今いる選手の力を上げていかないと来シーズンも苦しい戦いになります」と分析した。

12球団で唯一、高校生を指名しなかった巨人は…

　5人の選手を指名した巨人は12球団で唯一、高校生が1人もいなかった。

　日本ハムと競合して交渉権を獲得した中央大・西舘勇陽投手は投球動作が小さく、素早いクイックから最速155キロを計測する。山崎さんは「最初は打者のタイミングを外せるかもしれませんが、球質が良くないとプロでは通用しません。未知数の投手という印象です。巨人はどのチームよりも結果をシビアに求められるので、他のチームとは少し事情が違います。2年連続でBクラスに沈んでいて、育成よりも即戦力や補強を中心としたチームづくりになると思います」としている。

　3球団競合の末、ENEOS・度会選手の交渉権を獲得したDeNAについては、「今回のドラフトでナンバーワン野手を獲得できたことは大きいと思います」と話した。

　キャンプやオープン戦である程度の成績を残せば、度会選手はシーズンもレギュラーで起用されるはずと予想し「外野手のドラフト1位は、とにかく打力が求められます。牧（秀悟）選手、宮崎（敏郎）選手、佐野（恵太）選手ら見本となる好打者の多いDeNAは度会選手にとって良いチームだったと思います」と続けた。

予想を覆して活躍する選手が出ることに期待してます

　ドラフトは現状の評価であって、プロで活躍できる確率の高さを示すものではない。スタートラインに立てば、指名順位は関係ない。「自分のような評論家の予想を覆して活躍する選手が出てくることに期待しています。全ての球団が緻密に調査・分析した結果、選手を指名しているはずです。指名された選手は誰もが活躍できる可能性を持っています」と山崎さん。

　今秋のドラフトに成功したのは、セではどの球団だったのか。来年以降に、その答えが出る。

　つづいて、山崎さんに評価してもらったのはパ・リーグ。野村克也監督体制で輝きを放った楽天、そしてリーグ3連覇を果たしたオリックスなどについてどのように見たのか――。

＜パ・リーグ編に続く＞

#2に続く

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