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慶応大OB“じつはプロ野球で苦戦している”現実…ソフトバンク3位・廣瀬隆太はジンクス覆すか? あるスカウト「東京六大学は評価“されやすい”」
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/10/29 11:00
「慶応出身の野手」として成功した元巨人の高橋由伸
リーグ最多の131本を放った髙山俊(明治大→阪神)は通算330安打にとどまる。127安打(歴代2位)の高田繁(明治大→巨人)は通算1384本、117安打(歴代7位)、通算最高打率(.379)の岡田彰布(早稲田大→阪神ほか)も通算1520本に終わっている。
大学野球とプロ野球もまた、地続きではないことがわかる。
長年、六大学を見てきたなかで感じるのは、各大学の色がその後に影響しているということだ。最多のプロ野球選手を送り出している明治大には闘志あふれるプレーをする選手が多いが、慶応大の選手からはクールな印象を受ける。そうしたプレースタイルも、プロ入り後の活躍に影響している可能性は大いにある。
だが、前出のプロ野球スカウトはその見立てを否定する。
「慶応大OBだから、性格がおとなしいとか、控えめだとは思いません。ただ、どんなことをしてでもプロ野球でのし上がってやろうというハングリーさは、ほかと比較すると足りないかもしれない。どん底から這い上がってきたという経験のある選手も少ないでしょうね」
ホークス3位…廣瀬隆太はジンクス破るか
秋季リーグ戦で4連覇を狙った明治大から勝ち点を奪った慶応大には、この夏、大学日本代表に選ばれたスラッガー、廣瀬隆太がいる。4年間通算で86安打、打点51をマーク。本塁打は歴代5位の19本。一塁手として2度、二塁手として1度のベストナインを受賞した実績を誇り、182センチ、91キロの体格で通算8盗塁も記録している。
先日のドラフト会議でソフトバンクから3位指名を受けた廣瀬は、「いずれはホームラン王を取りたい」と力強く語った。
再び、スカウトの言葉を聞こう。
「今考えれば、2017年ドラフト2位で楽天に入団した、同じ右打ちの岩見の評価が高過ぎたということでしょうね。廣瀬のほうが打者としての能力は数段上だし、セカンドも守れる守備力もある。彼の総合的な能力は高いですよ」
高橋由伸の持つ六大学のリーグ通算最多本塁打記録(23本)まで4本と迫った廣瀬には、型にハマらない豪快なスイングと一発でスタジアムの空気を変える力がある。150キロ超の速球派が揃うパ・リーグで、その打棒は一層映えるに違いない。
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