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慶応大OB“じつはプロ野球で苦戦している”現実…ソフトバンク3位・廣瀬隆太はジンクス覆すか? あるスカウト「東京六大学は評価“されやすい”」
posted2023/10/29 11:00
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph by
Hideki Sugiyama
高校野球とプロ野球は地続きではない。
甲子園を沸かせたヒーローたちがプロの猛者たちとの戦いに敗れてユニフォームを脱ぐ姿をどれだけ見てきたことか。ドラフト会議が行われる毎秋、かつて天才や怪物として騒がれた男たちの引退が新聞をにぎわせるたびに「なぜ?」が浮かぶ。
なぜ、あれほどの実績を残したスターがプロ野球で通用しなかったのか?
おそらく、答えはひとつではない。
結果がすべてのプロ野球では数字こそが実力を示す指標である。期待された数字を残せない選手はこの世界から去るしかない……。
大活躍の野手は「高橋由伸」が最後?
「どうして慶応大学野球部OB、特に野手はプロ野球で活躍できないのでしょうか」
編集部からの問いを受けて、記憶をたどってみた。
たしかに、高橋由伸(元読売ジャイアンツ。通算1753安打、321本塁打、986打点)を除けば、1990年以降にレギュラーとして活躍した選手は少ない。鳴り物入りで楽天に入団した岩見雅紀は2022年シーズンを最後に引退。同じく楽天でプレーしていた横尾俊建も先日、戦力外通告を受けた。
プロで活躍できなかった慶応大OBとして、すぐに筆者の頭に浮かんだのが大森剛だった。
34年前、巨人ドラ1の“ある選手”
1983年夏の甲子園、1年生ながら高松商業(香川)のスターティングラインナップに名を連ねた大森は、この大会で日本一に輝いたPL学園(大阪)の桑田真澄(元巨人ほか)、清原和博(元西武ほか)と同じ学年だ。1986年4月に慶応大学に入学するとすぐにレギュラーポジションを獲得、4年間で通算111安打(歴代15位)、17本塁打(歴代10位)を放ち、78打点(歴代2位)を挙げた。3年春には三冠王を獲得し、その夏(1988年)に行われたソウルオリンピック日本代表にも選出され、銀メダル獲得に貢献。野茂英雄が8球団から指名を受けた1989年ドラフト会議で巨人から1位指名を受けて入団している。