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ドラフトウラ話《西武6位指名》「なぜ“無名地方大学”の男が指名された?」記者が完全密着…現場は“ドタバタ”「テレビの生中継どうしよう…」

posted2023/10/29 11:01

 
ドラフトウラ話《西武6位指名》「なぜ“無名地方大学”の男が指名された?」記者が完全密着…現場は“ドタバタ”「テレビの生中継どうしよう…」<Number Web> photograph by Number Web

三重県伊勢市にある皇學館大から史上初のドラフト指名選手が誕生した

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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 ドラフト会議で西武から6位指名を受けた皇學館大学の村田怜音(れおん)。 “伊勢のガリバー”の異名を持つ身長191cm、体重110kg のスラッガーは、いかにして同大学初のプロ野球選手となったのか。本人への単独取材も交えて、「村田怜音のドラフト会議」に密着した。(全2回の1回目/#2へ)

「これ、指名あるぞ」ドラフト前夜の“心霊現象”

 取材打診の電話は自動音声に切り替わった。驚いたのはその内容である。

「皇學館大学でございます。せっかくのお電話ですが、10月17日は『神宮神嘗祭』(じんぐうかんなめさい)のため業務を行っておりません。恐れ入りますが……」

 伊勢神宮のホームページによる神嘗祭の説明はこうだ。

「神宮で最も古い由緒をもち、天皇陛下の大御心を体して、天照大御神に新穀を奉り収穫の感謝を捧げる祭典」

 電話の自動音声から、国内でも2校しかない神職養成の課程を有す大学の一端を知る。翌日に再び電話をする。朗らかな声で対応してくれたのは、野球部コーチの諸岡大輔だ。

「取材に来ていただくのは嬉しいんです。ただ肝心の準備が、私たちもてんやわんやな状態で……どう対応すればいいのかと話し合っているところでして。でも、お待ちしております!」

 東京から新幹線で名古屋のち、JR普通列車「快速みえ」に乗り換えて計3時間半。鈴鹿、津、そして紀伊半島の松阪を越えて、伊勢市駅に着く。するとさっそく、伊勢神宮への道案内と名物「赤福」の看板が目に入る。バスに乗って10分ほど、鬱蒼とした森林に現れる1本道が皇學館大学への入り口である。

 10月26日13時50分。ドラフト会議のおよそ3時間前、村田怜音は意外にも自然体だった。

「今から話すことが本当のことって信じてもらえるかわからないんですけど……」。そう前置きして、真剣な表情で続けた。

「ベッドの横にタンスがあって、いつもそこにバットを立てかけているんです。振りたい時にすぐに握れるように。そしたら昨日、夜中にガタガタガタって物音がして。はっきり目が覚めたわけではないんですが、その音が聞こえた覚えはあって。それで8時に起きたら……バットが枕の後ろに。動かした記憶ないのに移動していた。これ、あるかもしれないです、指名!」

 初対面の筆者に昨晩の心霊現象(?)について教えてくれたのだ。

【次ページ】 30kgの増量…その方法は「毎日お餅を食べる」

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