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直前評価は真っ二つ? ドラ1候補の東洋大・細野晴希「ジキルとハイド」の投球に見るMAX158kmの“底知れぬ潜在能力”「安定感はない。それでも…」
posted2023/10/25 11:00
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
Hideki Sugiyama
今秋のドラフト有力候補を「天賦の才の持ち主」というくくりでみると、その最右翼に挙がるのが東洋大の細野晴希だろう。最速158kmの左投手。それだけで希少価値は高く、彼の剛腕ぶりを目の当たりにすれば一度は心が躍る。並外れた快速球は、誰にでも投げられるものではなく、選ばれし者だけが天から授かったものである。
一方で、細野には違う顔がある。10月11日は東都大学野球の國學院大戦に先発した。両校無得点の4回、突如、球が上ずり、先頭打者にストレートの四球を与えてしまう。失点こそしなかったが、まだリリースポイントが安定していない表れであり、こういう姿をたびたび見せれば、ネット裏で見守るNPBのスカウトにはマイナスに映る。
ジキルとハイド。一昔前のスポーツ紙なら、こんな表現がよく用いられてきた(最近はあまり見なくなった)。二面性があることのたとえだが、細野は現時点では、そんな状況にある。ドラフト戦線の声を総合すると1位、あるいは2位までの指名が濃厚だが、細野の「2つの顔」をどう評価するか。そこは各球団の戦力事情などから判断されることになる。即戦力を求めるのか、育成重視なのか。ニーズによって評価が分かれる選手だろう。
それでも、繰り返し書くが、天賦の才がなければ、快速球を投げられないのである。